Contents
小アルカナ【ソード10】絵柄の意味・世界観
78枚のタロットカードの中にはショッキングな絵柄のカードがあります。これもその1枚でしょう。うつ伏せに倒れた男性の背中に10本の剣が突き刺さっています。真っ黒な空には不穏な空気が漂い、誰もが「死」を連想するはず。見るも無惨な印象です。でも男性の背中から血は流れていないこと、空には黄色の明るい光も差していることに注目してみてください。これは一筋の光明ともいえそうです。あなたは今、どんな思いで過ごしていますか?明るい光が差していることに、気づいていますか?
絵柄の意味 | 解説 |
---|---|
テーマ | 限界 |
ソードの10 | 剣(ソード)は情報や言葉、思考を表す「風」のエレメントに属します。10は、1〜9を経て、一つの到達点を示し、同時に次へ向かうことも表す数字です。 ソード10では、剣という言葉や思考が限界に達し、破滅や最悪の状況を意味します。一方で、明るい光が見えていることから、この先の良い変化や展開も暗示しています。 |
黒色と黄色の空 | 夜の真っ黒な空は「限界」や「警告」を表します。でも山から朝日がのぼり始め、「祝福」を表す黄色い光も見えています。 夜明け前の今が最も暗く、この後は明るくなっていくことを暗示しています。 |
男性に刺さった10本の剣 | もし何者かが男性を襲う意図で殺害したならば、剣は1本で十分でしょう。ところが剣は10本も刺さっています。これは「過剰さ」を表現しています。最悪の状況とはいえ、苦しみを誇張したり、被害妄想にとらわれたりすることも暗示します。 |
倒れている男性 | 不穏なイメージ通り、破滅や負傷、不運、悲嘆、敗北などを体現しています。ズタボロでどん底の状態にいるようです。 |
男性の指の形 | 2本の指を曲げ2本の指を伸ばした手の形は、法王の右手と同じ「祝福」のサインであると考えられます。希望がなくなったわけではなく、ここからまた新たな展開に向かうことを示しています。 |
小アルカナ【ソード10】の物語
【ソード10】の「ソード」は、情報や言葉、思考など、人間の知性を表す「風」のエレメントに属します。「10」は、小アルカナの数札では最大の数字です。1〜9までを経てサイクルが一周し、一つの到達点に至ることを示します。【ソード10】では、言葉や思考など知性によるやりとり、つまり主義主張のぶつかり合いによる敗北や、考え方の違いによるトラブルなどで、大きなダメージを受ける様子が描かれているのです。
でも、よく見てください。10本の剣が突き刺さっている男性の絵柄は、どこか大げさに誇張された印象も感じませんか?【ソード10】は、不運、破滅、最悪の状況などを描くカードのため、たしかに男性は深刻な状況にあり、この後自力で立ち上がれそうな気配はありません。でもあまりにもひどい描かれ方は、どこか芝居じみたコントのような違和感も覚えるでしょう。
それはこのカードが、まるで「この世のすべての不幸が自分に襲いかかってくる」と感じるような被害妄想や、状況を悲観しすぎてヒステリックになっている状態を表すことがあるからです。人は不幸に見舞われたとき、苦しみが永遠に続くかのように感じ、打ちのめされてしまうものです。たしかにこのカードは、不幸や不運によりどん詰まりになること、ボロボロに敗北すること、耐えがたい苦悩のどん底に落ちていることを示します。
でも、落ちるところまで落ちたため、もはや状況はこれ以上悪くなりようがありません。男性の緊迫した状況とは対照的に、山の向こう側から朝日が昇り、空は黒色から黄色に変わっていくように見えます。夜明け前が一番暗いものです。この後は、朝日のように明るい展開も待っていると考えられます。つまりこのカードは、深刻な状況を伝えつつも、ここからは新しい次元へ移行することを表します。必要以上に嘆かず、やがて訪れる敗者復活のときを待ちましょう。
小アルカナ【ソード10】正位置の解釈
- 全体
【ソード10】が正位置で出た場合、仕事や恋愛などさまざまな事柄において、不安がうずまく緊迫した事態にあることを示します。事業の失敗や関係性の悪化など、落ち込んでしまいそうな最悪の状況に、不運を嘆き悲しみたくなるかもしれません。でも逆に言えば、これ以上、状況は悪化しないとも考えられます。今はダメージを受けて倒れても、希望を失わなければまた立ち上がれます。夜明けは近いのです。
- 恋愛
パートナーがいる人は、相手に対する疑惑や不満が限界に達し、きつい言葉で相手を傷つけたり、自分も傷つけられたりするかもしれません。関係は悪化しそうですが、すぐに別れを決めず、今はまず自分の傷を癒しましょう。
気になる人がいる場合、相手は今、恋愛モードではない可能性があります。過去の恋愛を引きずっていて、傷心の状態かもしれません。まずは傷が癒えるまでそっと見守りましょう。
パートナーを探している人は、自分がどんな恋愛や結婚をしたいのか、じっくり考えてみましょう。焦らないことが肝心。気持ちが整ってきたら、先々にうれしい展開も待っていそうですよ。
- 仕事、金運
重たい責任を負って身を粉にして働かざるを得ないなど、自分を犠牲にして心も体もボロボロの状況かもしれません。チーム内での意見の対立や衝突も起こりそうです。こんなときは、ミスが大きなトラブルとならないよう、気を引き締めてください。今はつらくても、踏ん張ることで、状況は少しずつ改善していきます。
金銭面では収支のバランスを見直してみましょう。支出が増えて立ち行かなくならないよう、お財布の紐はしっかり締めてくださいね。今はお金の貸し借りや投資は控えておくのが吉です。
- 人間関係
同僚や友達など、周囲と主義主張がぶつかり合ったり、そりが合わなかったりして、状況はあまり穏やかではありません。物事に対しての考え方ややり方の違いを認め合えず、激しいケンカをしてしまう可能性も。人に会うのもおっくうになり、殻に閉じこもってしまいそうです。相手を深く傷つけるような失言には気をつけながら、今は静かに一人で過ごすのも良いかもしれません。
小アルカナ【ソード10】逆位置の解釈
- 全体
【ソード10】が逆位置で出た場合、現在の状況が改善していく、事態が好転し始めるなど、明るい兆しを表します。ここまでの苦労の末にうれしい展開が待っている予感。不安だった状態から少しずつ抜け出し、厳しかった試練を乗り越えられそうな暗示です。仕事や恋愛などさまざまな面で、行き詰まっていた問題が解決する、関係が修復するなど、希望が見えてきそうです。
- 恋愛
パートナーがいる人は、マンネリ期を乗り越え、停滞していた関係性も前向きに変化していきそうです。具体的に結婚の話が出る、穏やかで安定した恋愛へ発展するなど、幸せを感じられそうです。
気になる人がいる場合、相手に近づく絶好のチャンスです。告白もベストタイミング。積極的に連絡を取り、アプローチしてみましょう。相思相愛になれる可能性があります。
パートナーを探している人は、フィーリングの合う理想の相手との出会いが待っているかもしれません。婚活なども積極的に動き始めましょう。
- 仕事、金運
大きなミスやトラブルを引き起こし、競合企業との争いなど何かに敗北してしまうかもしれません。でもこれからは失敗をカバーするべく、前向きに仕事に取り組んでいけそうです。同僚や上司など、周囲との関係も強まるため、一緒に敗者復活戦に臨みましょう。目標に向かって気持ちを切り替えてください。
金銭面で苦労してきた人は、どん底の状態を脱しそうです。どこかから思わぬ援助を受けられる、お得な情報を得る、臨時収入があるなど、うれしい出来事が起こるかも。新たに貯金を始めるのも良いタイミングです。
- 人間関係
これまで疎遠になっていた人と連絡が取れて再会したり、苦手だった人と思わぬところで打ち解けたりするなど、さまざまな関係性が活発になり、好転していく予感です。ケンカしていた友達とも無事に仲直りできるでしょう。また同じ趣味の話で盛り上がれる友達もできそうです。さまざまな場所に積極的に出かけて、刺激を受けてみてくださいね。今後、華やかな交友関係が広がっていきそうです。
小アルカナ【ソード10】アーサー・E・ウェイトの解釈
【ソード10】について、ウェイト氏は「カードに属するすべての剣に貫かれた平伏した人物」と描写しています。10本の剣が突き刺さっている男性の姿はとてもショッキングですね。「10」という数字が暗示する一つの周期の終わり、つまり最終段階であり、絶望的な破滅を示しているようです。悲惨で悲痛な絵柄でしょう。
【ソード10】は、必ずしも直接的に「肉体の死」を意図していません。というのも、「ソード」は、情報や言葉、思考など、人間の知性を表す「風」のエレメントに属すため、言葉の暴力によって深い傷を負う、考え方の違いによって関係が悪化しダメージを受けるなど、これまでの行いや積み重ねによって、最悪の状況に陥ることを暗示しているからです。
でも同時に空には「祝福」を表す鮮やかな黄色も塗られています。「警告」を表す黒色を打ち払うように、朝日が昇り始めているのです。先の見通しは明るそうです。
ウェイト氏はこのカードの正位置について「痛み、苦悩、涙、悲しみ、寂しさなど、図柄から連想されるものすべて。特に暴力的な死のカードではない」と解説しています。仕事や恋愛などどのような場面でも、深い悲しみに打ちひしがれ、深刻な状況に苦悩し、倒れ込んで破滅する姿が浮かぶようです。
一方で【ソード10】の逆位置についてウェイト氏は「優位性、利益、成功、好意、しかしこれらはどれも永続的ではない。また、権力と権威」と解説しています。逆位置の場合、事態が好転し、敗者復活に臨めるようです。これまでの苦労の末に将来的な展望が見え、希望の光に心がホッとするかもしれません。でも「どれも永続的ではない」ため、良いチャンスを見つけたら、しっかりつかむことが必要といえそうです。