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小アルカナ【ソード5】絵柄の意味・世界観
どうやら剣(ソード)を奪い合った戦いの後の様子が描かれているようです。戦いに勝った手前の男性が、負けて落胆しながら去っていく2人の背中を見ています。勝利した男性は2本の剣を左肩に携え、右手で1本の剣を地面に突き刺しています。剣を奪われないように警戒しながら、まるで「この土地は自分の領土になった」と宣言しているような態度です。海は細かく波立ち、空には強風が吹き荒れ、不穏な空気が漂っています。あなたは今、誰かと争って、誰かを傷つけたり、傷つけられたりしていませんか?
絵柄の意味 | 解説 |
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テーマ | 傷つけ合い |
ソードの5 | 剣(ソード)は情報や言葉、思考を表す「風」のエレメントに属します。5は「4」が表す「安定性」の先にある「不安定性」や「変化」「革新」「競争」「自由」などを表します。 論争や口論などによって安定を打ち破り、革新を求めて戦った結果、傷を負う様子が描かれています。 |
手前の剣を持つ男性 | 戦いに勝利した男性は、この土地の征服者として、捕獲した2本の剣を左肩に携え、1本の剣を地面に刺しています。スプレッドで他に出たカードによって、この冷笑する征服者が自分を指すのか、他の人なのかを読み取る必要があります。 |
去っていく2人の人物 | 戦いに破れた2人は剣を置いた後、追い払われ、背中を丸めて落胆している様子です。服従に負けた絶望的な気分が描かれています。スプレッドで他に出たカードによって、この敗北者が自分を指すのか、他の人なのかを読み取る必要があります。 |
空模様 | 空にはギザギザした形の雲が流れ、強風が吹き荒れています。敗北者たちの屈辱感や絶望感、やりきれなさなどの心模様と、戦いの後の荒涼とした雰囲気が表されています。 |
波立つ海 | 一見海は穏やかに見えますが、水面には多くの波模様が細かく描かれています。敗北者たちは剣を放棄しなければならず、プライドが傷つけられたため、その乱れて荒れた心模様が反映されています。 |
小アルカナ【ソード5】の物語
【ソード5】の「ソード」は、情報や言葉、思考など人間の知性を表す「風」のエレメントに属しています。「5」は、「4」が表す「安定性」の先にある「不安定性」、つまり安定から一歩進んで、物事が進化したり変化したりすることを表す数字です。また占星術において「5」は火星と関係があります。火星は闘争心や攻撃性を表し、「軍神(マルス)」の名を持つ惑星です。【ソード5】では、安定から抜け出し、変化していく中で起こる知性や思考による戦いや、競争、摩擦、敗北などを表しています。
【ソード5】で描かれているのは、勝利者と敗北者の構図です。剣(ソード)を奪い合う戦いの後、勝ち誇ったように剣を携える1人の男性と、敗北して去っていく2人の人物がいます。冷酷な笑みをうかべる勝利者は、敗北した2人に剣を捨てさせ、自らはしっかりと3本の剣を携えています。両者が剣を奪い合って、激しく攻撃し合ったことがうかがえます。
情報や言葉、思考を表す剣による戦いには、誹謗中傷や陰口、言葉による暴力などがあります。もしかしたら、だまし討ちや詐欺、嘘や策略による卑怯な戦いも繰り広げられたのかもしれません。強風で荒れた空模様や、波立つ海面は、敗北者たちの絶望感や無念、心が激しく乱れる様子を表現しています。また、全体的に殺伐とした空気感が漂う絵柄で、勝利の喜びや敗北の悔しさのどちらかを単純に表したというよりも、戦いの後の「虚しさ」が描かれているようです。
このカードは、相手より優位に立とうとして相手をやり込めたり、傷つけたりしていないか、振り返ってみることを伝えています。結果を出すために誰かをおとし入れたり、利用したりしていませんか? 自分の希望のために、戦うことは避けられなくても、戦い方には注意したいもの。自分本位なやり方では、あとで仕返しを受けてしまうかもしれません。またカードの出方によっては、逆に今、誰かに傷つけられている状態かもしれません。誰かに従わなければいけない環境に耐えていませんか? いずれにしても、言葉という武器は人を深く傷つけることを、忘れないでいたいですね。
小アルカナ【ソード5】正位置の解釈
- 全体
【ソード5】が正位置で出た場合、恋愛でも仕事でも、さまざまな関係において、誰かを攻撃していないか、誰かに攻撃されていないか、振り返ってみるタイミングです。誰かを攻撃している場合、相手をどう打ち負かすかに執念を燃やしていると、視野はどんどん狭くなってしまいます。小さな言い争いから、周囲を巻き込む大きな争いごとまで、どんな戦いであっても、敵意や憎しみは残ってしまうもの。勝敗よりも大切なものがあることを思い出してみましょう。誰かに傷つけられている場合は、どうしたらその境遇から抜け出せるか、考えることが必要ですよ。
- 恋愛
パートナーがいる人は、ケンカや言い争いになったとき、お互いが感情をぶつけ合って相手を打ち負かすことだけにとらわれてしまうかも。パートナーを大事に思う本来の気持ちを思い出してみてください。相手への敬意や思いやりを取り戻せたら、あなたの優しさや素直な気持ちはきっと伝わります。
パートナーを探している人や気になる人がいる場合は、相手に強引にアピールしすぎていないか、振り返ってみましょう。手段を選ばずライバルをおとし入れたり、駆け引きのテクニックばかり駆使したりすると、最終的にあなた自身が疲れてしまうかも。略奪愛は成功しそうですが、友達と縁が切れるなど、後悔は残りそうです。あなたにとっての幸福な恋愛とはなにかをしっかりと考えてみましょう。
- 仕事、金運
仕事に一生懸命な人ほど、行き過ぎると、利益や成果のためには自分本位でも良いという考えになってしまいそうです。手段を選ばずライバルをだましたり、周囲の意見を聞かずに自分の主張を押し通したりすると、のちのち評判が下がってしまう可能性も。根回しや戦略が裏工作にはならないよう、気をつけてくださいね。
金銭面では、利己的になりすぎていないか振り返ってみましょう。自分だけでなく、パートナーや家族、他者など、他の人のお金も大切です。みんなに気持ち良くお金が回るような方法を考えてみましょう。
- 人間関係
今はあまり交友関係を素直に楽しめるときではないようです。良くないことだとわかっていても、ついつい誰かの悪口や悪い噂で盛り上がって、それが本人に伝わってしまうなど、人間関係を巡るトラブルに発展しそうな可能性もあります。悪意はいずれ自分にも返ってきてしまうもの。大きなダメージを負わないように、どこかで誰かを傷つけていないか、慎重になりましょう。逆に、もし自分が利用されていると感じる場合は、その人とは距離をおいて付き合いましょう。自分を大切に守ってくださいね。
小アルカナ【ソード5】逆位置の解釈
- 全体
【ソード5】が逆位置で出た場合も、基本的には正位置と同じ解釈ができますが、争いによってさらに状況が激しくなっている可能性があります。私利私欲を表すカードのため、利己的なふるまいによって誰かを傷つけたり、傷つけられたりしていないか、振り返ってみましょう。自分のことばかり優先しているかもしれないと感じたら、周りの人の意見に耳を傾け、言葉づかいにも気をつけてみましょう。誰かから攻撃を受けている場合は、正面から戦わず、うまく受け流すのがおすすめです。自分のやるべきことだけに集中しているうちに、次第に状況が改善していきそうです。
- 恋愛
パートナーがいる人は、お互いの主張がぶつかりやすいときかもしれません。相手の言葉にカチンときて、ついつい言いすぎてしまう場面もありそうです。お互いに失望したり、険悪なムードが漂う前に、譲れないものは何か、冷静になって整理してみましょう。また、ケンカがきっかけで大切なパートナーを誰かに奪われないよう、目を光らせてください。
パートナーを探している人や気になる人がいる場合は、今は積極的なアプローチをしても、効果が薄そうです。告白もまだタイミングではなさそう。相手の状況や様子を見ながら、慎重に関係を深めていってくださいね。
- 仕事、金運
仕事に集中したいのに、職場で陰口を叩かれたり、足を引っ張られたりする可能性がありそうです。信じていた同僚や上司の裏切りに、失望してしまうことも。今はつらくても、自分のやるべきことに集中しましょう。なるべく衝突を避けるのが吉です。また、競合会社やライバルに勝つため、成果を焦って卑怯な手を使いたくなっても、グッと耐えてください。のちのち信用を取り戻すのに苦労してしまいそうです。今はたとえ負けて悔しい思いをしても、その後の成長につながっていきます。
金銭面では、お金の無駄づかいに要注意です。投資も損失が出やすい時期です。今は得するよりも損をしないように、お金の使い道には慎重に。
- 人間関係
人間関係を巡るトラブルの渦中にいる人は、関係修復が少し難しくなっているかもしれません。相手からきつく責められたり、嫌がらせを受けたりする可能性も。相手を深く傷つけたぶん、自分も深い傷を負うかもしれません。売り言葉に買い言葉でやり合わず、ダメージを深くすることは避けましょう。争って、たとえ勝利したと思っても、これで完全に縁が切れてしまうなど、つらい結果に。できれば争いごとは避けましょう。相手をやり込めることより今は自分の内面に向き合い、うまくいかない理由を探ってみると、良いヒントが得られそうですよ。
小アルカナ【ソード5】アーサー・E・ウェイトの解釈
【ソード5】について、ウェイト氏は「軽蔑的な男が落ち込んで退却していく2人の姿を見送っている」と述べていて、彼らが争った後の描写であることがわかります。去っていく2人の剣は地面に横たわっている一方で、勝利した男は左肩に2本の剣を乗せ、右手には3本目の剣を持ち、地面のほうを指しています。ウェイト氏は「彼はこの領域の支配者だ」と述べています。
【ソード5】では、険悪な雰囲気が漂う絵柄から、何かの利害や損得が絡んで、人と人とが傷つけ合うことを示しています。それも、武力や物理的な攻撃ではなく、剣(ソード)という言葉や思考による武器を使った精神的な戦いです。感情やプライドを傷つけ合った後に残るのは、憎しみや嫌悪感などで、気持ちの良いものではないですよね。
ウェイト氏が正位置で列挙している意味は「退廃、破壊、取り消し、汚名、不名誉、損失、これらの変種と類推語」などです。「退廃」と訳される「Degradation」には、仕事に関わる言葉として他に「降格、下落、免職」などの意味もあります。仕事について占う場合では、リストラや左遷など、職位にまつわることについても示しているようです。
【ソード5】の逆位置では、ウェイト氏は「正位置と同じ、埋葬と葬儀」としています。逆位置の場合、基本的に正位置と同じ意味を持ちつつ、さらに激しい戦いにより、傷を負う人が出そうです。そこから「埋葬と葬儀」という「死」の不穏なイメージにつながっています。剣のように鋭い言葉で人と傷つけ合うよりも、なんとか和解の道を探りたいものですね。