「亡くなる日」は、生まれる日と同様にとても重要な日です。
大切な誰かがこの世から去ってしまうことによって、私たちは生きることや出会いの奇跡を実感できます。
「命日占い」は、亡くなった人の死が伝えるメッセージを、星読みを使って読み解く占いです。
この連載では「命日占い」を発案した「占い師の先生」かげした真由子さんにお話を伺います。
書籍『命日占い』(サンマーク出版)の冒頭100ページ分を
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試し読みしたい方はこちらからごらんになれます。
連載の第2回目では、初夏に出版される『命日占い』のベースになっている世界観や背景についてお話を伺います。
かげした真由子(かげした・まゆこ)
太陽双子座、月乙女座。愛称「まゆちん」。サウンドクリエイター、ベンチャー企業の立ち上げ、保険営業マンの秘書などを経てタロット占い師に。2008年より占い師・心理セラピストとして独立。現在までの鑑定数はのべ1万4千件。2018年からは星よみ協会の無料講座制作にたずさわる。一人ひとりが安心して自分らしく生きるための占い活用を日々研究しつつ、占い師の先生として後進の育成に取り組む。著書『命日占い』『命日占い〈未来編〉』(サンマーク出版)は累計10万部のベストセラー。
Contents
命日占いのベース【世界は陰(あの世)と陽(この世)でできている】
――「命日占い」は、占いとしてはどのような理論でできているのでしょうか。
占いの技術はベーシックな西洋占星術をもとにしながら、私の世界観や死生観を取り入れて作っています。
命日占いの世界観は、人間・動物などの生き物は肉体を持つ魂の存在であり、世の中は二元論で成り立っているという考えに基づいています。
陰と陽、女と男、天と地、生と死。
そして命日占いの死生観は、死の先には「あの世がある」というものです。
私は、魂を本当の意味で理解するためには、「この世」の視点だけで物事を見ていては偏りがあると考えています。
なぜならば、世界は陰(あの世)と陽(この世)で成り立っているからです。
――なるほど。ふつうに暮らしていると、あの世目線で物事を見ることは少ないですよね。
両方の視点を取り入れることはとても重要です。
星読みでは、自分の星と対極にあるサインの星のエネルギーを取り入れると統合が起こると言われています。
自分の太陽が牡羊座であるならば、対極は天秤座です。
牡羊座は赤ちゃんのような星座なのでとても主観的です。ときに猪突猛進して失敗することがありますね。
このとき、対極にある天秤座の客観性を取り込むことができれば、牡羊座のもつ主観性がより成熟するという考え方です。
命日占いもこれと同じで、生も死も人間として重要な節目であることには変わりなく、どちらかをなかったことにするのではなくフラットにみる目が大事だと思っています。
故人の命日をもう1つの誕生日としてメッセージを読み解く
――従来の占いってどれも誕生日にフォーカスしているので、命日占いはとても斬新ですね。
そうですね。
占星術師の立場でいうと、この世に生まれた起点である誕生日とこの世を去る終点となる命日のホロスコープの両方を理解してこそ魂が理解できると思っています。
いわば、命日はもう1つの誕生日なのです。
星読みでは、生まれた日のネイタルチャートには人生の青写真やその人の性質が描かれていますよね。
太陽は人生の目的、金星は人生の楽しみ、土星は人生の試練。
人生の起点となる誕生日にそれだけ多くの情報があるのであれば、命日にも同じくらい大切なメッセージが込められているということになります。
――なるほど。でも私たちは自分の命日を観ることはできませんよね。
ええ。死なないと観えません(笑)。当然、自分自身の死も予知できません。
しかし、誰かのホロスコープから自分に役立つメッセージを受け取ることはできます。
もともとすべての生き物は1つの魂であるからです。
神道の教えでは、神様から分け与えられた魂を「分け御霊」と呼びます。
私たちの魂は分離していると思われがちですが、1枚の布のようにすべての魂はあの世までつながりあっている、という考えかたを私は採用しています。
私の魂の一部はあなた、あなたの魂の一部は私です。
そう考えると、あの世に先に行った方の命日のホロスコープは、私たちにとっても大事なメッセージが含まれているわけです。
命日占いはこのメッセージを読み解いていきます。
――命日占いでは、どんな人の命日からも自分へのメッセージを受け取ることができるのですか。
基本的には、自分と絆を結んでいた家族や恋人・友人・愛するペットの命日と自分との関係を見ていきます。
また、直接顔を合わせていなくても、自分の人生に影響を与えた著名人の命日からもメッセージを受け取ることは可能です。
命日占いのメッセージから死は終わりではないことを実感
――命日占いをしてみた例を教えてください。
はい。
40年ほど前にとても仲が良かった従姉妹2人を事故で亡くしたお話をしましたよね。
従姉妹たちの命日の星読みをしたことをお話しますね。
最初、従姉妹たちのホロスコープを見たときは、こわごわとやってみたのです。
星読みをするまで、「彼女たちの命日は、私にとってショッキングな日であるという風に読めるだろう」と想像していました。
実際チャートを見てみると、「突発的なことが起こる」というメッセージが浮かび上がりました。
たしかに彼女たちは火事で亡くなったのでその通りではあったのですが…
でも悪いことが起こる感じには読めなかったのです。
従姉妹たちの命日のホロスコープと私のネイタルチャート(かげしたさんの誕生日のホロスコープ)は、まるで男女の恋愛が始まる日のような関係性でした。
――それは意外ですね。どう思われましたか?
この星読みをしたときに、「従姉妹たちとの関係は終わっていなかったのかもしれない」と自覚しました。
亡くなったことを思い出すのがつらくて心にフタをしていた時期はありましたが、私が7歳の頃に従姉妹たちを喪失してからほぼ40年間、自分のそばに彼女たちがいる感覚はずっとあったのです。
何か問題が起こるたびに、「従姉妹たちだったらどう考えるだろう」とイメージしていました。
まるで付き合っている男女が一緒に過ごしているように。
――星読みによって、無自覚だった感覚が呼び起こされたのですね。
またチャートを見ると、「私のスピリチュアリティが開くとき」というメッセージも読み取れました。
占いは「見えない世界」に属する仕事です。
そういえば、私が占い師として活動していたとき、彼女たちにガイドしてもらいながら星読みをしていた感覚があったのです。
「死は終わりではない」という概念はいろんな人の本を読んで知ってました。
しかし、命日占いをするまでは自分の中に全然落とし込めていませんでした。
命日のチャートを読むことで、亡くなったときから新しい関係性が始まっていたことを初めて実感しました。
私は、星読みという共同作業を従姉妹たちとしていたのです。
命日占いは残された人が今を生きるための物語を作るきっかけを生み出す
――お話をうかがって、命日に対する考え方が少し変わってきました。ちなみに、読み解く際に心がけていらっしゃる点はありますか?
まず、誤解を与えないようにお伝えすると、人は人生の節目の星回りになるから亡くなるわけではありません。
大事な人の命日が、残された人のホロスコープで節目である場合もありますが、だからといって皆がそのタイミングに亡くなるわけではありません。
命日占いをするときは、このような思い込みがないように気をつけてくださいね。
もちろん近しい人の命日は、生きている私たちにとっても大きな意味があります。
――占い師として命日占いをするときは、相手の方への伝え方も大事になりそうですね。
大切ですね。
とくに生前絆が強かった方とのお別れは「自分」の存在を相手に融合してしまうことがあります。
例えば、なにかしらこの世に未練を残してお母様が亡くなられた場合、娘であったその方は、自分がお母様より幸せになってはいけない、と思い込んでしまい、自分らしい人生を封印してしまう場合があります。
このようなケースでは、あえて意識して「あなたの人生はあなたのものです。あなたの幸せに集中することをお母様も望んでらっしゃるのではないでしょうか。」という意味合いを星の解釈に反映させています。
また、私は命日占いで読み解いた故人からのメッセージをお伝えしますが、絆の物語は別れの数だけ存在します。
私がお渡しする星からの物語、それはきっかけに過ぎず、続きの物語を作るのは、その方ご自身だと思っています。
――命日占いは、残された私たちがより良く生きるためのものということがよくわかりました。次回は、命日占いで起きた偶然の一致などについてお聞きしたいと思います。