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小アルカナ【ペンタクル5】絵柄の意味・世界観
第一印象から貧しさや苦しさを感じる絵柄です。登場人物は2人。いずれもボロボロの衣服をまとい、素足で冷たい雪を踏みしめています。男性は頭に包帯を巻き、松葉杖をついた足元はおぼつかなそうです。女性はマッチ売りの少女を彷彿とさせ、背を丸めた前かがみの姿勢が惨めさを印象づけています。凍えそうな向かい風に耐えて歩く2人ですが、目の前のステンドグラスの窓には見向きもしません。おそらくここは教会の前。気がついていないのか、助けを請うつもりがないのか、表情は暗く見えます。あなたは今、どんな困難に耐えていますか? そして輝くステンドグラスの窓を見逃していませんか?
絵柄の意味 | 解説 |
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テーマ | 行き詰まり |
ペンタクルの5 | ペンタクル(金貨)は、お金や物質、現実的な考え方や堅実な行動を表す「地」のエレメントに属します。5は、4の表す安定性の先にある「不安定性」「変化」「自由」などを表します。 ペンタクル5では、困窮した人たちの哀れな様子が描かれ、「変化」に伴って起こる不安定な混乱の状態を示しています。しかし5つのペンタクルが教会の窓に輝いていることから、救いがあることも表しています。 |
けがをしている男性 | 頭に包帯を巻き、松葉杖をついています。病気やけがで健康を損なう状態を暗示しているとも考えられます。 |
2人の人物 | カード全体的に寒々しく絶望的な印象がありますが、人物は2人いて、孤独ではありません。ボロボロの衣服などから社会的な身分や階層は低いと想像できますが、2人の間には苦しみを共有する連帯感や、親密さが感じられます。 |
ステンドグラス | 5つのペンタクルが輝く窓は、希望や救助を象徴しています。でも2人の人物は助けを求めることなく、通り過ぎています。 |
教会 | 光り輝くステンドグラスの窓はありますが、入るための扉は描かれていないことから、教会は2人が助けを求められない場所として描かれています。現実的に社会は2人を救おうとしていないようです。 |
小アルカナ【ペンタクル5】の物語
【ペンタクル5】の「ペンタクル」は、お金や物質、現実的な考え方や堅実な行動を表す「地」のエレメントに属します。5は、4の表す安定性の先にある「不安定性」「変化」「自由」などを表す数字です。安定していた状況から、何か変化が起こることで混乱が起き、不安定になっていくというイメージです。
【ペンタクル5】は、ボロボロの衣服をまとった男女2人が、寒々しい吹雪の中を歩いていく様子が描かれています。ショッキングな絵柄ですが、注目したいのは光り輝くステンドグラスの窓。2人は教会と思われる建物の前を歩いていることがわかります。
【ペンタクル5】では、【ペンタクルA(エース)】から始まった富と繁栄への成長が【ペンタクル4】で完成した後の「変化」を表しています。現実的な富や物質を得た後は、変化の途上で何かを失う時期もあるでしょう。影響を受けるのは金銭面だけでなく、健康面かもしれないし、失うのは友情や愛情かもしれません。なんにせよ、苦しい状態に陥ることを暗示しています。でも、どんなときも希望はあるはずです。
しかし、2人は希望の光となる教会に見向きもしません。教会の存在に気がついていないのか、助けを求めるつもりがないのか。教会に入る扉が描かれていないことから、もしかしたら教会側が2人を助ける気がないともとらえられます。2人は現実的に社会に見捨てられ、頼れる人がいない状況かもしれません。ですが、2人の間には、苦しみを分かち合う連帯感や絆があります。苦しいときも2人で歩き続けていくのでしょう。
小アルカナ【ペンタクル5】正位置の解釈
- 全体
【ペンタクル5】が正位置で出た場合、さまざまな面で、何かを失ったり、行き詰まったりすることを表しています。例えば、恋愛では愛する人から拒絶されたり、人間関係では友達と仲違いしてしまったりするかも。仕事や金銭面では損失を出したり、健康面では体調を崩すなど、問題が起こる可能性もあります。でもこれは、安定を抜け出した「変化」の途中でよく起こること。大切なものを失わないよう、あらかじめ予防策を講じることもできます。カードに描かれたステンドグラスのように、希望の灯りを求めて、慎重に行動しましょう。
- 恋愛
大切なものを失ってしまう暗示です。パートナーがいる人は、今はお互いの気持ちが冷めつつあるときかもしれません。【ペンタクル5】は貧しさや苦しさを表すカードですが、経済面以上に、心の貧しさが関係にヒビを入れます。できるだけ相手を思いやるあたたかい気持ちを意識してみましょう。
パートナーを探している人や気になる人がいる場合は、例えば困窮した状態になっても一緒にいられそうな相手か、自分の心に聞いてみましょう。厳しい状況もともに乗り越えられそうな人を選ぶことが大切です。また失恋をなぐさめあううちに結ばれるような展開も暗示しています。
- 仕事、金運
仕事でミスをして損失を出す、大事な契約書や預かり物を紛失してしまうなど、凹んでしまいそうなことが起こる暗示です。また職を失ったり、健康上の問題で仕事に支障をきたしたりする可能性も。慎重な行動を心がけ、トラブルやミスを避けましょう。休暇をうまくとって無理をしないなどの体調管理も大切です。
金銭面では、借金や散財に要注意の暗示です。今はお金の貸し借りは控えましょう。あとあと長引く金銭トラブルのもとです。収入より支出が増えそうなので、衝動買いや無駄使いには「買い物リスト」を作るのが効果的ですよ。
- 人間関係
友達や同僚などとは、経済的なことが原因で一緒の時間を楽しめなかったり、金銭トラブルで関係が断たれてしまったりする可能性があります。一方で、厳しい条件の職場で一緒に耐える同僚や、失恋した者同士の友達など、苦しい状況を分かち合える同じ境遇の人には恵まれ、強い絆で結ばれるかもしれません。でも、なぐさめあっているだけでは、状況は改善しないもの。手助けや援助が必要なのに、自分たちだけ周りに取り残されてしまう可能性もあります。立ち直るために頼れそうな人を探すなど、前向きに行動を開始しましょう。
小アルカナ【ペンタクル5】逆位置の解釈
- 全体
【ペンタクル5】が逆位置で出た場合も、多くの場合で基本的に正位置と解釈は変わりません。さまざまな面での喪失や損失、行き詰まりを表しています。でもカードが逆になることで、ステンドグラスの窓の絵は、扉のように見えます。教会という救いの場所に入れる、つまり閉塞した状況に、希望の光が差すと考えられます。人生では失恋や損失など、何かを失うつらい状況によく直面します。でもどんな問題も、起こってしまった後は、回復を待つのみ。困難をバネに立ち直ることでパワーアップできることも覚えておきましょう。
- 恋愛
パートナーがいる人は、気持ちが冷める、愛想を尽かすなど、お互いに不安定な関係が続いている状態かもしれません。でも相手に不安をぶつける、自暴自棄になるなど、感情的にはならないでくださいね。今は一時的に揺れている関係も、この時期を乗り越えたからこそ、より強い絆で結ばれることもあります。
パートナーを探している人は、精神的に満たされる人と出会えるかもしれません。気になる人がいる場合は、これまでの不利な局面から一転、相手とうまくいく可能性も。いずれもまだ油断は禁物です。厳しい状況には変わりないため、慎重な言動を心がけながら関係を深めていきましょう。
- 仕事、金運
仕事上で大きな損失を出してしまう、顧客や関係者、同僚など関わる人たちに不利益を与えてしまうなど、混乱した状況に陥りそうです。今は、お金や物の受け渡しの確認など、細かい作業ほど、慎重に。もし自分のミスだと気づいた場合は素直に謝罪して素早く対応してください。ミスを減らし、信用を取り戻しましょう。
金銭面では、経済的なダメージを暗示しています。安定した収入が途絶える、投資で損失を出してしまう、貯金が底を突くなど、苦しい状況に陥る可能性も。今は厳しい時期ととらえて財布の紐を締め、ストレス発散は買い物以外の方法を選びましょう。
- 人間関係
仲間や友達などと、心がすれ違いやすい時期です。頼りにしていた同僚が頼れない状況になる、信頼していた友達に裏切られる、期待して育てた後輩に肩透かしを食うなど、つらい出来事にショックを受けるかもしれません。ガクッと落胆するでしょう。でも、これまでの関係性を見直すチャンスともいえます。支えてもらっていたことに感謝できたり、自分自身の価値観の変化に気づけたりするかもしれません。あなたはどんな関係を望んでいるか、自分の心に問うのも良いでしょう。
小アルカナ【ペンタクル5】アーサー・E・ウェイトの解釈
【ペンタクル5】について、ウェイト氏は「吹雪の中、2人の物乞いが明かりのついた開き窓を通り過ぎる」と描写しています。また、「mendicants」はこじき、浮浪者、施しを受けて生活をする人という意味があります。「casement」は窓、開き窓の意味があります。でもステンドグラスのこの窓は、開きそうにありません。2人は通り過ぎていくしかないようです。
【ペンタクル5】は、さまざまな局面において、行き詰まったり、何かを失ったりすることと、その苦しい状態に混乱することを表しています。財政難、病気、失業、恋人との別れなど、厳しい出来事が予想されます。ダメージを受けて落ち込むこともあるでしょう。でもつらい出来事があるからこそ、成長するチャンスを得られたり、それまでの自分の価値観を問い直すことができたりします。重大な問題から日々のささいなトラブルまで、人生ではさまざまな困難に見舞われます。それをどう受け止めていくかは、あなた次第です。
ウェイト氏は【ペンタクル5】の正位置で、絵柄について「図示されたような困窮した形であるかどうかにかかわらず、物質的な貧しさを伝えている」と説明しています。また「占い師の中には愛と愛する人、妻、夫、友人、愛人や、調和、親近感を表すカードとする人もいる」と述べ、でも「このような解釈に調和は見出せない」としています。絵柄が示す2人は物質的な豊かさには乏しい、極貧状態です。しかし同じ方向に苦しみを共有しながら歩いているため、2人の間柄をカップルや夫婦、恋人ととらえることもできそうですが、それは不自然だと指摘しているようです。
【ペンタクル5】の逆位置では、ウェイト氏は「無秩序、混沌、破滅、不一致、放蕩」としています。基本的に正位置と同じように解釈できますが、困窮状態でさらに行き詰まり、不安が広がって混乱すると解釈できます。厳しい事柄を示すカードですが、ステンドグラスに輝く5つのペンタクルに気づくことで、希望の光が見えそうです。