4大小惑星と呼ばれる、セレス、パラス、ジュノー、ベスタ。
また近年発見され、注目されている小惑星のカイロン、エリス、フォルス。
これらは占星術においては、どんな星で、どんな意味を持っているのでしょうか?
それぞれの小惑星について、ホロスコープで読み解く際のポイントをご紹介します!
小惑星(マイナー・プラネット)とは、太陽系に軌道を持つ無数の小天体の総称です。
ホロスコープの読み解きに、小惑星を使う最大のメリットは、太陽や月など10天体から読み解けることを、さらに細かく分析できるということです。
そして、ホロスコープの相性図(シナストリー)において、小惑星は10天体だけでは捉えきれない相性や潜在的な課題を深く読み解くことができます。
今回は占星術における代表的な小惑星である、セレス、パラス、ジュノー、ベスタ、カイロン、エリス、フォルスについてご紹介します。
それぞれがどのような性質を持ち、どのように読み解くことができるのか、見ていきましょう。
でも、小惑星の由来となっている神話を理解することで、それぞれの小惑星のテーマや象徴するものをひも解くことができますよ。
たくさんの小惑星の中でも占星術で重要視されているものを、今回ご紹介していきましょう♪
Contents
小惑星における4大小惑星
数ある小惑星の中でも、セレス、パラス、ジュノー、ベスタは4大小惑星と呼ばれており、占星術に用いられることが多い天体です。
これらは火星と木星の間に存在していて、「個人天体」と「社会天体」をつなぐ役割を持っています。
4大小惑星は、私たちの個人的な願いや欲求を知る手がかりと、さらにその思いをどのように社会で活かしていけるのかというヒントを与えてくれるのです。
ホロスコープの小惑星セレス(ケレス)とは
セレスはギリシア神話の農耕と収穫の女神デメテルに由来しています。
人々に食物を与え育む大地母神であるセレスは、占星術では「養育者」の象徴です。
そのため、セレスは「他者を育てる」あるいは「自分自身の内面にある未発達な意識や才能を育てる」という意味を持ちます。
このセレスの「育てる」という性質は、教師が生徒を指導するというよりも、母親が子どもを養育するような意味合いが強いです。
これは、セレスが母親と関連しており、無償の愛、献身、教育、食べ物、栄養、母性、家族関係などの意味をもっているためです。
セレスは私たちに「他者を育てる喜び」と「自分自身が成長する喜び」を教えてくれる天体だと言えるでしょう。
つまり、セレスから、私たちがどのように他者を育てるか、どのように愛するか、何によって自分が成長していけるのかを読み解くことができるのです。
同時に、子供を見守る母親のような無償の愛をあらわし、どのような愛が自分の中に眠っているのかを知ることもできます。
セレスの力を活かすことで、物質的な豊かさではなく精神的な豊かさを得られるでしょう。
また、セレスはホロスコープにおいてベネフィック(吉星)とされてます。
ホロスコープ上でセレスが目立つ位置にある人や、セレスが他の天体と正確なアスペクトを取っている人には、特に強い影響が現れるでしょう。
何かを保護したり、育てたりすることに対して大きな素質を持っていたり、他者に愛情や豊かさを与え、素直に表現ができる人と言えます。
ホロスコープの小惑星パラスとは
パラスはギリシア神話の知恵と戦略の女神アテナ(パラス・アテナ)に由来しており、槍と盾で武装した姿で生まれてきた、知恵と戦争、工芸を司る女神です。
神話の中で彼女は、単なる暴力ではなく知恵を使い、戦略や交渉を通して平和的に紛争を解決する方法を人々に授けました。
また、パラスは織物や建築、彫刻といった工芸を人間にもたらした女神でもあります。
芸術、男性性と女性性のバランス、癒やしなどとも関連しているため、創造的な活動、社会や政治への参加、医療活動、女性解放などを表します。
そのため、ホロスコープでパラスから読み解けることは、自分がどのように知性を創造的に表現し、活かしていくのかという「知的創造力」です。
パラスは女神の中でも指折りの美しさを誇りながらも、芸術的な創造活動や社会的な活動のために、男性神との交わりを拒絶した処女神としても伝えられています。
「男社会における有能な女性」の象徴でもあるパラスは、女性の社会進出や、仕事と家庭の両立といった、現代を生きる私たちにとって大切なテーマとリンクします。
このようなテーマと向き合うときも、パラスを読み解くことで、知性と工夫をこらして、自分らしく生きる道を探す手がかりを得られるでしょう。
さらに、パラスはホロスコープにおいてベネフィックとされてます。
ホロスコープでパラスが目立つ位置にある場合は、正義や平等、道徳的な社会の実現のために、自分の知性を活かして努力する人と言えます。
ホロスコープの小惑星ジュノーとは
ジュノーはギリシア神話においては最高神ゼウスの妻であるヘラを指し、結婚や家庭、女性の権利を守護する女神として知られています。
ヘラは貞淑な妻ですが、夫であるゼウスの浮気に悩まされることが多く、ゼウスの愛人となった女神やその子供、時にはゼウス自身に容赦なく復讐することでも知られています。
小惑星ジュノーはパートナーシップ全体に深く関わる天体とされています。
そのため占星術では、パートナーシップにおいて、お互いを尊重し、信頼し合える関係をどのように実現していくのかが、ジュノーのテーマと言えるでしょう。
ジュノーから、パートナーシップに求めるもの、平等、調和、信頼関係を強化する方法や、相手の立場を理解する姿勢、といったことを読み解くことができます。
ですが、ジュノーのエネルギーが不安定になると、男女間の緊張や嫉妬、強者と弱者の不平等や不和、復讐、権力争いとして表れます。
パートナーに対して、攻撃的な行動を取りやすくなる場合も。
一方、ジュノーのバランスが取れていると、双方の献身的な姿勢、平等さ、協力し合う関係が築かれます。
さらに、ジュノーはホロスコープにおいてマレフィック(凶星)とされてます。
ホロスコープでジュノーが目立つ位置にある場合は、マイノリティや弱者への不当な扱いに敏感で、敬意や公平さを強く求める人であると言えるでしょう。
そのことから小惑星ジュノーは「女性の権利の主張」も象徴しています。
ホロスコープの小惑星ベスタとは
ベスタはギリシア神話のヘスティアに由来しており、家と家庭、そして祭壇の火を守るかまどの女神です。
世界の中心にある「聖なる火」を絶やさぬよう、見守ることが職務であり、その聖職をまっとうするために、あらゆる男性神の求婚を断って、独身を貫いた処女神でもあります。
この女神の清廉で献身的な性質から、ベスタは、重要な仕事に対する強い使命感や、何かを犠牲にしてでも目的を達成しようとする意志を示すと考えられています。
ベスタからは、その人が並外れた集中力を発揮できる事柄や動機などを知る手がかりが得られるのです。
一般的には、ベスタは仕事に強く影響を与えると言われますが、人間関係、趣味、ボランティア活動など、様々な分野において「没頭する」といった形で表れる場合もあります。
また「没頭する」対象は、自分の内面に向けられることも多いです。
なぜなら、己の内側に集中し、自分自身を見つめ、意志や理想の純度を高めることが、仕事や義務、使命を全うすることに繋がるからです。
ベスタは、どのように自分を見つめ純度を高めていくか、どのように目的や理想への意志を貫くか、を読み解くことができます。
また、禁欲的なベスタの逸話から、性的解放、性的恐怖などの意味も持ち、自分の内に宿る性的なエネルギーと向き合うことも、この天体の重要なテーマと言われています。
さらに、ベスタはホロスコープにおいてマレフィックとされています。
ベスタの理解を深めることは、自身が持つ性のエネルギーの傷を癒し、回復することにつながっていくでしょう。
その他の重要な小惑星
次は、4大小惑星以外の重要な小惑星、カイロン、エリス、フォルスについてご紹介します。
これらはいずれも比較的近年に発見された小惑星です。
占星術では、小惑星の描く軌道や、名前の由来となった神々のエピソードなど、様々な面で注目されています。
これらの小惑星を使ってホロスコープを読み解くことで、私たちの心の内側にある、欲求や願い、傷(トラウマ)など、細やかな部分まで読み解くことができます。
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ホロスコープの小惑星カイロン(キロン)とは
カイロンはギリシア神話の半人半場の神、ケイロンにちなんで名付けられています。
ケイロンは複雑な出生から肉親に見放されたものの、神々に育てられ、「賢者」と称されるほどに様々な知識と技術を身に着けます。
その中でも、とりわけ優れていたのが医術と癒しの力だったと言われています。
ケイロンの逸話には、親から見捨てられたという深い傷と、他の神々から学んだ癒やしの力といった要素が象徴的にあらわれます。
このことから、カイロンは「傷ついた癒し手」とも言われています。
ホロスコープの中でのカイロンの配置からは、その人の魂の隠された傷(トラウマ)と、その癒しの方法を探ることができます。
またアスペクトも、カイロンを読み解く重要なポイントとなるでしょう。
カイロンにハードなアスペクトが多いと、自分の内面にある傷を強く意識しやすくなり、それを癒すために多くの努力を要するでしょう。
一方で、カイロンがソフトなアスペクトを受けている場合、傷を自覚することが少なく、苦しむことも少ないかもしれません。
一方で、その傷を意識的に癒せず、成長につながりにくいという傾向もあります。
カイロンを理解することは、魂の深いレベルでの傷を知り、その傷と向き合い、癒していくための重要な手がかりとなるのです。
ホロスコープの小惑星(準惑星)エリスとは
エリスは、ギリシア神話に登場する不和と争いの女神「エリス」に由来しています。
神話では、神々の宴会に招かれなかったエリスが怒り、宴会の席に「最も美しい女神へ」と書かれた黄金の林檎を投げ込みます。
この行動が、女神たちの間で誰が一番美しいかを巡る争いを引き起こし、トロイア戦争の発端となりました。
エリスは公転周期が約560年と非常に長いため、ほとんどの人のエリスは牡羊座に位置します。
そのため、エリスを読み解く際は、ハウスを重視すると良いでしょう。
エリスが「不和」や「争い」を引き起こすのは、「許せない」と感じることに対して、看過せずに行動を起こしてしまうからです。
エリスが滞在するハウスから、怒りを感じやすいテーマや、どうしても見過ごせない事柄を読み解くことができます。
「不和」や「争い」というとネガティブな印象を持つかもしれませんが、エリスは必ずしも欠点を示すものではありません。
エリスを知ることは、衝動的に「怒り」を露わにしてしまうほどに、尊重してほしいと強く願っていることや、心の奥の欲求などを自覚するための助けとなります。
ホロスコープの中で、エリスが目立つ位置にあったり、非常に正確なアスペクトを取る天体があったり、エリスが強調されている人は、とくにその影響が強く表れるでしょう。
そうした人は、自分の信念のために、たとえ不和を招いたとしても戦う強さを持つと考えられます。
ホロスコープの小惑星フォルス(ホルス)とは
ギリシア神話では、フォルスはケンタウロス族で、酒樽の番人です。
先ほどご紹介したカイロンの名の由来になったケイロンと同じく、他のケンタウロス族とは出自が異なるため、荒々しさはなく物静かな性格です。
しかし、彼は不運にも毒矢によって突然命を落とします。
占星術においては、フォルスは良くも悪くも「予期しない出来事」、「物事が崩壊して再び組み立てられる」、「重大な転換点」を象徴します。
またカイロンと同様、「癒し」や「過去の傷の克服」の意味合いもありますが、フォルスは特に「夢やビジョンの再生」に焦点が当てられます。
それはフォルスの軌道が、土星と海王星の間に位置するためです。
フォルスは、制限や現実的な視点を司る土星と、理想や夢を表す海王星の両者の間の架け橋であるとも考えられるのです。
フォルスからは、予期せぬ出来事が非常に重要な形で起こり得る分野や、それによって受けた衝撃と向き合う姿勢を読み取ることができるでしょう。
また、一度崩壊を経験したとしても、再び夢やビジョンを取り戻すためのヒントも、フォルスは指し示しています。
【まとめ】小惑星で自分の欲求や使命、癒しを知ろう
ホロスコープの読み解きに、小惑星を加えると、欲求、使命、魂の傷と癒しなど、心の奥底にある、繊細で深い思いと向き合うこととなるでしょう。
そして、そうした思いをどのように社会での自分の在り方に活かしていくか、ヒントを見つける手助けにもなります。
難しいテーマの小惑星も多くありますが、ホロスコープと自分の心を照らし合わせることで、あなただけの特別なメッセージが浮かび上がってくるはずです。
小惑星を取り入れることで、さらにあなたらしい人生を歩んでいってくださいね。