昔から人々は夜空にまたたく星から人生の目的や人との関係性についてヒントを得て暮らしに生かしてきました。
星たちが教えるのは、生きている私たちの人生の物語だけではありません。
「生と死」。星たちは亡くなった人との関係性やメッセージを伝えてくれるのです。
「命日占い」は、命日のホロスコープから生きている人へのメッセージを読み解く「占い師の先生」かげした真由子さん発案の新しい星読みです。
書籍『命日占い』(サンマーク出版)の冒頭100ページ分を
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試し読みしたい方はこちらからごらんになれます。
この連載では、2020年6月15日に出版される『命日占い』(サンマーク出版)の誕生秘話をお伝えしていきます。
占い師の先生として、1人の人間として、セラピストとして。
かげした真由子さんが命日占いに込めた思いを伺いました。
かげした真由子(かげした・まゆこ)
太陽双子座、月乙女座。愛称「まゆちん」。サウンドクリエイター、ベンチャー企業の立ち上げ、保険営業マンの秘書などを経てタロット占い師に。2008年より占い師・心理セラピストとして独立。現在までの鑑定数はのべ1万4千件。2018年からは星よみ協会の無料講座制作にたずさわる。一人ひとりが安心して自分らしく生きるための占い活用を日々研究しつつ、占い師の先生として後進の育成に取り組む。著書『命日占い』『命日占い〈未来編〉』(サンマーク出版)は累計10万部のベストセラー。
大切な人がこの世を去ると残された私たちの一部も欠けてしまう
――「命日占い」は少しインパクトのある名前ですね。いったいどのようなものでしょうか。
命日占いとは、大切な人の命日のホロスコープから亡くなった人と自分との関係性を見つけ出していくものです。
名前こそ「占い」と名付けられていますが、強いていうと、心理セラピーに近いかもしれませんね。
といっても「悲しみを乗り越えましょう」とか「死は悪いことではないから、悲しむことではありません」といったことを訴えるものではないのです。
私たちにとっては受け止めることが難しい「死」を、生も死も人間にとって大切な節目であることをあるがままに受け止めようとする祈りの気持ちがベースになっています。
学術的な蓄積の上に成り立つ占星術ではなく、占星術にヒントを得た私自身の祈りを込めたオリジナルの物語といったほうがいいかもしれません。
この命日占いは、「占い師として自分にできることは何だろう」と私が思い続けてきたプロセスから生まれたものです。
私は40年ほど前にとても仲が良かった従姉妹2人を事故で亡くしました。
そのことをずっと自分の中で消化できずに尾をひいてきました。
――それはとても大変でしたね。おいくつだったのでしょう。
7歳です。
2人は火事で亡くなってしまいました。
あまりに突然で悲しいという感情がよくわからないまま、心が凍りついてしまったことを今でも覚えています。
当時の私は物語やテレビの中で「天国に行くこと」は知っていました。しかし理解はできていませんでした。
――以前のインタビュー(かげしたさん講師インタビュー)でも、「死を身近に感じる人生を送ってきた」とおっしゃっていましたね。
そうですね。人生は常に死と隣り合わせだ、と感じていました。
そして、その思いが強くなって勝手に自分でプレッシャーをかけて苦しくなることもありましたね。
占い師になる前には、家族療法やファミリーコンステレーションなどの心理セラピーを学び、カウンセラーとしても活動していました。
大切な人を失うと生きている私たち自身も自分の一部を失ってしまいます。故人が大好きな人でも、大嫌いな人だったとしても。
そこから時が止まり、自分の中の何かを閉じ込めたまま、それが悩みになる方々にも接してきました。
大切な人の死が今を生きる私たちの現実に影響を与えることも
――大切な人が亡くなると、時間が喪失感を癒してくれるまでじっと耐え忍ぶことが多い気がします。それでは問題があるのでしょうか?
人によるかもしれませんね。ただ、自分の悲しい感情に触れるのが辛すぎて「亡くなったことをなかったことにしたい」という防衛本能が働きます。
そして、故人についてはあまり考えないようにしてしまうのです。
しかし、そうすると、生前、故人から受け取っていた良い影響、恩恵にも蓋をしてしまうことになり、それが本人の生き辛さに繋がることもあるんですね。
――具体的にはどのようなことが起こるのでしょう。
例えば、亡くなった方から人を愛することについて影響を受けていた場合、自分の中の愛し、愛される力にブレーキがかかり、恋愛関係に悩みを起こすなどです。
――身近な人の死は、その後の人生にも大きな影響を与えるのですね。
はい。私も大好きだった従姉妹とのお別れは人生に大きな影響がありました。
従姉妹たちが亡くなってしまった理由を理解することができませんでした。
法事のたびに、
「なぜお姉ちゃんたちは亡くなってしまったの?」と大人たちに質問していました。
ある時、とあるご住職さまにこう言い聞かされました。
「あの子たちは優秀だったから、神様がほしがったんだよ」と。
ご住職さまはなぐさめるつもりでおっしゃったのでしょう。けれど、私にはそれがとても怖いことのように思えたのです。
「…つまり、テストで100点とったら死ぬの?」
真正面から受け取ってしまったのです。
その時から「目立ってはいけない」「秀でてはいけない」と思い込み、無意識のブレーキをかけるようになりました。
学校のクラスにいますよね、2番にはなれるけど、頑張っても1番になれない子。まさに私がそんなタイプでした。
――子供にとって、大人のふとした一言って大きな影響がありますよね…。
そうですね。もちろん大人にも愛情があるがゆえなのはわかるのですよね。
亡くなった従姉妹は2人とも絵も文章も上手で優秀な子でした。
生き残った私は、親戚の女の子3人の中でもっとも出来が悪かった。
告別式の日、祖父は私を膝の上に抱っこして「真由子は2人の分も生きるんだよ」と言いました。
祖父のことが大好きだった私はそれを言葉どおり受け取ってしまったのですね。
私が頑張ればおじいちゃんは元気になるかな、なんて健気にも思った。
「3人分の人生を生きなければならない」と自分に課してしまった私は頑張って、頑張ってワーカホリックになってしまいます。
でも「1番になったら天に召されてしまうから、1番になってはいけない」と無意識でブレーキをかけてしまう。その繰り返しです。
仕事では、先の見えない頂上を目指してひたすら山を登り続けているような感じでした。
決して祖父が悪いわけではありません。けれどいつまでたっても満たされたる実感が持てなくて…そんな状態が続きました。
大切な人の「命日」が私たちに生きる意味を教えてくれる
――しんどいですね。自分にも当てはまるのでよくわかります…。
がんばってもなんだか満たされない原因は、従姉妹とのお別れに端を発し、それら一連の出来事だったと心理セラピーを始めてからわかりました。
今から7、8年くらい前のことです。そこから死を見つめ、受け取る作業を行なっていくことで、だんだん癒されてうまくいくことも増えてきました。
――そのような辛い状況からはどう抜け出されたのですか。
死はいつか訪れるものであるということを腑に落としただけなんです。
そして、自分と従姉妹との絆を思い出す。
実はそれだけなのです。
私にとって「死」は常に身近にありすぎたのですね。「いつ死ぬかわからない」ぐらいに感じていた。
もちろん明日かもしれないけど、「死はいつか訪れるもの」というのが真実です。
そして、2人のことは忘れようとしても、なかったことにしようとしても、心の中には残っている。
素直に「大切な2人は私の心の中にいます」と認めてあげることが大切なのです。
心理学には人は真実でしか癒されないというトゥルーセンテンスという言葉があります。
まさにそのとおりだと思います。
――はい。悲しいと思っている自分をちゃんと受け止めると、悲しみはやわらぐ気がします。
どんな亡くなり方をしたとしても、たとえ憎かった相手だとしても、家族や親戚、恋人や友人、ペットなどの深い関係性を持つ誰かが亡くなってしまったことに対して悲しかったり苦しいのなら、それは絆があった証なのです。
命日占いでは、自分の心に亡くなった人の居場所をつくるためのサポートとして、星からのメッセージを受け取っていきます。
大切な人が亡くなったときの星回りは、残された私たちのチャートでも人生の節目であることが多いです。節目だから亡くなるわけではありませんが。
「命日」は、生きている人にもとても大きな意味があります。
死を悲しがるだけではなく、何か学ぶものや生きる意味を見つけられたら…。
それが亡くなった人との大切な会話になり、絆が戻ることにつながると思っています。
――貴重なお話をありがとうございました。次回は「命日占い」の内容についてもうすこし詳しくお話を伺います。