夏至〜秋分の3ヶ月間、社会はどんなムードになる? 私たち一人ひとりはどのように受けとめたらいい?
星読みテラスを監修する西洋占星術師・かげした真由子先生がより良く過ごすヒントをお届けします。
かげした真由子(かげした・まゆこ)
太陽双子座、月乙女座。愛称「まゆちん」。サウンドクリエイター、ベンチャー企業の立ち上げ、保険営業マンの秘書などを経てタロット占い師に。2008年より占い師・心理セラピストとして独立。現在までの鑑定数はのべ1万4千件。2018年からは星よみ協会の無料講座制作にたずさわる。一人ひとりが安心して自分らしく生きるための占い活用を日々研究しつつ、占い師の先生として後進の育成に取り組む。著書『命日占い』『命日占い〈未来編〉』(サンマーク出版)は累計10万部のベストセラー。
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2021年の夏至は6月21日|夏至図で先3ヶ月を読む
春分図・夏至図・秋分図・冬至図という「四季図」は、特定の個人の資質ではなく、「日本という国の情勢、国を取り巻くムード」をあらわすチャートとなります(場所を東京で算出した場合)。
占星術では1年の中でいくつかその期間を占う図がありますが、整理しておきましょう。
種類 | 読み解ける期間 |
春分図 | 春分から1年 |
夏至図・秋分図・冬至図 | その日から3ヶ月 |
日食図・月食図 | その日からおおよそ半年 |
夏至図を読む前に伝えたいこと
私は占星術を扱う一人として、「たしかに星の動きと社会の動きは符合している!」という体感はありますが、
具体的すぎる予言をすることや、天変地異などを無理やり星に当てはめる解釈は好きではありません。
2020年のコロナ禍に関しても正確に予言した占星術師はいませんでした。
占星術に予言的側面があることは否定しませんが、歴史の中で試行錯誤され積み重ねられてきた占星術の本質は「予言ではない」と考えます。
占星術は、常識や科学という枠組みの外にある営みです。
私たちは時に、常識や科学では説明できないようなことを経験します。
そのような予想外の出来事に出会った際に洞察を与えてくれるのが占星術。
私は、枠内の世界では得られない「ひらめき」や「気づき」を与えてくれるものとして占星術を学び、みなさんにお伝えしたいと思っています。
普段は目を向けない集合的無意識や社会で起こっていることに関心を寄せたり、気づきを得たりするための試みとして、「夏至図」の解説をお届けします。
占星術の解釈をお伝えする時は便宜上どうしても、占星術のルールや世界観において言い切る表現をしますが、
皆様にはどうか解説を盲信せず、客観的な視点から「へえ、そういう見方もあるんだな」と、純粋な興味を持って読んでいただけると嬉しいです。
またどこか別の場所で、占星術をもとにした予言のような発信をご覧になったとしても、「不安になる必要はない」ということも、加えてお伝えしておきたいと思います。
「そういう見方もあるんだな」という客観的な物事の捉え方は、実は「風の時代」に必須なのです。
今回、夏至図からもさまざまな日本のムードに関する情報が導き出されると思いますが、その情報を真に受けるのではなく、大事なのは、そこから「何に気づくか」だと思います。
常識をもとにした思考では思いつかない視点や気づきを得られるよう、私自身、文章を紡いでいきたいと思います。
2021年6月21日の夏至図とは?
2021年6月21日の夏至図です。
太陽が蟹座に入るタイミングが夏至です。
さて夏至図は、毎月の満月・新月リーディングとは少し趣が違います。
満月や新月に関しては、個人の意識や気分の移り変わりをもとに解釈していきます。
なぜなら「月」は、私たちの気分や感情のサイクルを表すからです。
一方、夏至図に関しては、東京を基準にして算出したチャートで夏至からの約3ヶ月(秋分まで)の日本のムードを読み解くことができます。
心理学的な表現をすると「日本に住む人の集合的無意識の動きを読む」と言うこともできます。
つまり夏至図は、私たち日本人の意識と同時に、日本社会全体のムードを表すのです。
さて、どんなことが表れているのでしょう。
夏至図のテーマは春分図と同じ【調和の精神】
私が四季図(春分図、夏至図、秋分図、冬至図)を読む時は、まずASC(アセンダント)と月の様子をチェックします。
なぜなら、ASCは夏至から3ヶ月間のテーマを象徴しますし、月はその期間の国民そのものを表すからです。
今回、アセンダントは天秤座の数え度数10〜11度にあります。
ちなみに3ヶ月前の春分図のアセンダントも天秤座でした。
春分図は2021年1年を通してのムードを表していますから、春から夏にかけて引き続き共通したテーマが表れているということですね。
ASCの天秤座は、洗練された対話、調和の精神をあらわします。
時期的には東京オリンピックが予定されており、日本という国が海外に向けてオープンに関わっていくとも言えますし、
私たち一人ひとりの個性も、個人から発するものというよりは対人関係や集団の中で見出していくものとなりそうです。
これは春分図と同じメッセージになります。
またASCと関わりの深い天秤座の支配星・金星が、冥王星とオポジション(180度)という角度で、緊張感を醸し出しています。
金星は楽しさを表します。ですが、オリンピックが予定通り開催されたとしても、
楽しいはずのお祭りも開放感を持って楽しめないことを物語っているようです。
コロナ禍における自粛ムードと重なっている影響かもしれません。
しかし、金星と冥王星の緊張関係を海王星が調停して和らげています。
新型ウイルスに関するプレッシャーには、わたしたち国民もいささか慣れてきた模様です。
月を含んだグランド・クロス【抑圧されたままの国民】
2021年6月21日夏至図の一番大きな特徴が、正方形の形=グランド・クロス。
その一角にあるのが、国民を表す月です(誤差を多めに取って考えました)。
月は蠍座で、経済を表す2ハウスに位置しています。
しかも月は、10ハウスに滞在している火星から厳しい角度を向けられています。
10ハウスというのは政治的テーマを表します。
国家全体のあり方が、国民の経済状態にプレッシャーを与えている配置といえます。
月が位置する蠍座は、秘めたエネルギーです。
つまり、国民の不安な心情は露わになることはなく、抑え込まれてしまうことを象徴しているようです。
不安な気持ち、本当の気持ちをなかなか吐き出せないムードが漂うと考えられます。
この記事を読んでいただいている方は、私と同じ人の心を扱うお仕事の方も多いと思われますが、
私たちにできることも、この月と火星の配置から感じ取ることができるかもしれませんね。
また「グランド・クロス」と言うと、少し怖い印象を感じるかもしれません。
グランド・クロスは、関わる4つの天体が緊張を伴うため破壊的になってしまう場合もありますが、グランド・クロスが持つ良い面を使うことができれば、非常に建設的に作用するアスペクトです。
グランドクロスを形成しているのは、以下の4つの天体です。
それぞれが絡み合うことで身動きが取れなくなっている状態です。
天体 | サイン | ハウス | 表すこと |
月 | 蠍座 10度 |
2 | 経済的プレッシャー。不安を露わにできない国民感情。 |
火星 | 獅子座 6度 |
10 | 政治的な方向性。やや衝動的で無理が生じるエネルギー。 |
土星 | 水瓶座 13度 |
4〜5 | 過去を振り返ると長期的兆しは読めるが、予測を活かせないジレンマ。日本という土地柄による制限やプレッシャー。 |
天王星 | 牡牛座 14度 |
8 | 自分の能力にあった自立や選択をしたい。 |
占星術では、「公転周期の長い天体が、公転周期の短い天体に影響を与える」というセオリーがあります。
つまり国民を表す月に、他の3つの天体の影響がすべてかかってくる、と言えます。
簡単な解釈をそれぞれに添えてみましたが、グランド・クロスを総括して表現するなら、「先を考えて不安になる国民」という図が浮かびます。
「このままいくと、こうなるのではないか」と、ある程度見据えることもできるけど、
「どうすればいいかわからない」「なにが正解かわからない」という、重い荷物を持っている感じです。
月と天王星のオポジション (180度)も、オリンピックによる変化や対応の中で、国民が想定外の出来事に振り回される様子が浮かぶようでもあります。
慌ただしさやいつもとは違う街のムードに戸惑うこともありそうですが、慎重にうまく乗り切っていきたいものです。
ここまでお伝えしたことは、あなたの身の上に起こる出来事というより、日本に住む私たち全員が抱える課題といった感じです。
だからこそ、何が必要か、個人として何ができそうか、を考えたいですね。
読者アンケートでいただいたオススメ勉強方法をまとめています♪
国のあり方【海外へ発信】しながら【置き去りの問題を見つめ直す】
月が国民を表すなら、太陽は国のリーダーです。
太陽を見ると、国としての国民への対応のあり方も見えてくると思いますので、読んでみましょう。
太陽は9ハウスに滞在しています。9ハウスは海外を表します。
つまり、国を挙げて海外へ発信している様子が表れています。
また、太陽は木星と調和の角度・トライン(120度)を取っていますので、海外からも注目が集まっています。
ただこの時期は、木星を含み逆行中の天体が多く、物事がなかなかストレートに進みません。
水面下でもつれている様子が表れています。
とはいえ、逆行中の水星と土星がトライン (120度)という調和の角度を取っていますので、もつれた出来事の解決が難航したときには、上手く切り抜ける鍵になりそうです。
4ハウスにある土星は、「これまで国が置き去りにしてきた課題」を象徴しているようでもあります。
その土星に水星がアクセスしているので、私たちの意識は「置き去りにしてきた課題」に向かうべきかもしれません。
土星がある4ハウスは国土そのものを表し、4ハウスには春分図と同様、土星と冥王星が滞在しています。
春分図を解読した際に、私はこの配置を
土星は「蓄積されたもの」。
冥王星は「核」。
個人的にはどうも、2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故から10年が経過したこととの符合に思えます。
と解釈し、10年前の大震災を振り返り、そこからまだ解決していない問題に意識を向けることの重要性を述べました。
10年前の震災から学んだこと、置き去りにした問題をいま一度、夏至を起点として整理し直してみることも、夏至からの3ヶ月を過ごすうえで重要なのではないでしょうか。
もちろん、「個人的に置き去りにしていた問題」を丁寧に見つめてみることも課題になってくるでしょう。
【まとめ】停滞期の今こそできる振り返りを
2021年の夏至図から、夏至〜秋分の3ヶ月間の社会のムードを読み解いてみました。
ウイルス対策か経済かオリンピックか…あらゆる面でのバランスを取ろうとする雰囲気と、それにともない国民一人ひとりの感情が抑え込まれたようなムードは、秋まで変わらず続きそうです。
気持ちを整えながら、置き去りにしていた問題について自分なりに振り返り、考え、身近なひとと丁寧に対話を重ねながら過ごしていきましょう。