命日のホロスコープから故人のメッセージを読み解く「命日占い」。大切な人の死の悲しみから解放され、生きる意味を見つけられたら…という想いから生まれました。命日占いは星読みテラスを監修する西洋占星術師・かげした真由子先生発案の、新しい星読みです。
占い師の先生であるかげした真由子さんが、誰もが知っている有名人の命日のホロスコープを「命日占い」で読み解きます。
今回のテーマは、唯一無二の存在感を放つ名女優として死の間際まで活躍し、独特の言動や人生観で多くの人から愛された樹木希林さん。
彼女がどんなメッセージを残して旅立ったのか、命日のホロスコープから受け取ります。
Contents
かげした真由子が憧れた樹木希林 魂が訴えかけることを読み解く
今回は、私、かげした真由子が大好きだった女優・樹木希林さんの命日を読み解かせていただきます。
私が20代だった頃、男友達に「40代になったらどんな大人になりたい?」と聞かれ、「樹木希林さんみたいな人」と答えたことがあります。
彼は「そうだよね、彼女はかっこいいよね!君ならなれるよ」とにっこり笑って言ってくれました。
私は「樹木希林以外の何者でもない、ブレない存在感」に憧れていたのだと思います。
そして年月は流れ、私は「命日を扱う占い師」になったわけですが、希林さんは変わらずお手本となってくださっています。
今は「生きるとはなにか?死とはなにか?」を体験を通して教えてくださった存在になっています。
「命がもったいない」娘が明かした樹木希林の名言とは
樹木希林さんの娘・内田也哉子さんは、インタビューの中でとても印象深いエピソードを明かしています。
母の死は何ものにも代えがたい大きな贈りもの
《2018年9月1日。樹木さんが入院して、半月ほど経っていた》
病室に行くと、母が独り言のようにつぶやいてるんです。もしや、おかしくなったのでは、と思ったのですが、よく聞いてみると、窓から見える町並みに向かって「死なないで」「お願いね」「命がもったいない」と繰り返していました。やっぱりおかしくなったかと思い「どうしたの?」と尋ねたら、「今日は9月1日だから」って。
母は晩年、不登校の問題に関わっていました。夏休みが終わって学校が始まる9月1日に、子どもの自殺が一番多くなるという事実を知ったんです。出典:樹木希林『この世を生き切る醍醐味』2019,朝日新聞出版
也哉子さんはこのあと、子どもたちに「死」しか選択肢がない状況をなんとかしたいと思い、この問題に関して対話を重ねていくことを決めたそうです。
病床にいながらも、誰かの「死」をもったいないといえる気持ちは、親として子どもに向ける愛情でもあり、
死に近づいている時だから湧き上がるものでもあったのでしょう。
自ら死を選ぶことに対し、善悪で語ることは出来ません。
「命がもったいない」
これは、愛と悲しみに触れた人だからいえる真実なのかもしれません。
「命がもったいない」
ここに、私たちが学ばなければならない大切なことがあるような気がしてならないのです。
そういうわけで、今回は樹木希林さんの命日ホロスコープから、今、彼女の魂が訴えかけていることがあるとしたらなんだろう、ということを読み解いていきたいと思います。
樹木希林の命日ホロスコープが私たちに伝えるメッセージとは
乙女座太陽が【みんな仲良くね】と理性的に伝える|樹木希林の命日占い
樹木希林さんの命日(2018/9/15)の太陽星座は乙女座です。
やはり、私にとっては「ぶれない光」という存在なのですね。
詳しくは拙著『命日占い』でご紹介しています。
さて、乙女座の太陽というのは、とても知的で理性的です。
客観的に物事をみて、細かい所にこだわる、というのが乙女座のカラー。
つまり、天にいらっしゃる樹木希林さんはとても理知的でらっしゃるのです。
乙女座の神話では、麦の穂を持った乙女がモチーフです。
その麦の穂は種子でもあります。
種子の中で熱く成長し続けるのが乙女座でもあるのです。
また、樹木希林さんの命日の太陽は、乙女座の23度です。
通常、乙女座にとって縁の深い星(支配星)は水星ですが、星読みには「一つの星座を度数によって3つに分ける」という考え方もあります。
希林さんの命日(2018/9/15)の太陽は、乙女座の一番最後の区分にあたります。
誕生日 | 度数 | 支配する星 |
8/23~8/31 | 1〜10度 | 水星 |
9/1~9/11 | 11〜20度 | 土星 |
9/12〜9/22 | 21〜30度 | 金星 |
命日の乙女座を支配する星は、金星です。
希林さんの乙女座の太陽は、金星と「愛と調和」の要素を表現しているのです。
「みんな仲良くね」というメッセージを、乙女座らしく理性的に伝えてくれているのでしょうか。
「死も生も怖くない」ただギフトを受け取るだけ|樹木希林の命日占い
そして、樹木希林さんの命日の太陽は冥王星とトライン(120度)をとっています。
冥王星にまつわるギリシャ神話の神様は、ハデスです。
ハデスは、死者の国たちを支配しているとも言われ、死を司る神様です。
この世の原理である死と生を司っているのですね。
冥王星にも、死と生というキーワードが当てられています。
そんな冥王星が、樹木希林さんの命日ホロスコープで太陽とトラインを形成しているということは、
希林さんが私たちに「死に触れるのは怖いことではないよ」と伝えてくれているように思います。
それと同時に「生きることも怖くないよ」と言ってくれているようにも思うのです。
そして太陽乙女座らしく「そこには一定の秩序があるのだよ」とも伝えてくれています。
死と生の秩序、ってなんでしょうか。
生前に彼女が口にした、「命がもったいない」という言葉。
私は、もしかしてこれこそが生と死の秩序そのものかもしれない、と思うのです。
生も死も、私たちにとって抗えないものです。
しかし、どのような「生」も「死」も善悪はありません。
私たちには、この世に生を受け、寿命をまっとうするという時間だけが与えられていて、それをギフトとして受け取っている存在である。
ただそれだけなのかも。
だから、ギフトを受け取らないのは「もったいない」のかもしれません。
【まとめ】生前の樹木希林さんの言葉「死んでいく姿を見せたい」
最後に、内田也哉子さんの言葉をご紹介します。
母(樹木希林)は常々「家族に、自分の死んでいく姿を見せたい」と話していました。なぜ見せたいかというと、この日常というのは、希なる瞬間の積み重なり。その自然の摂理の中で人は生まれては死んでいくっていうことを身をもって気づかせたかったんでしょうね。かけがえのない一日一日が積み重なっての人生だと分かれば、日常のどんな小さなことにも感謝が出来る。そして、どんな人に対しても慈しみを持って接することが出来るというか。やはり、身近な人の死を体験すると理屈抜きで実感するんですね。
出典:樹木希林『この世を生き切る醍醐味』2019,朝日新聞出版
樹木希林さんの魂は、まさにこのことを今も伝え続けてらっしゃるのでしょう。