「心理占星術」という言葉を聞いて、いわゆる占星術とどう違うんだろう?と疑問に思ったことのある方も多いかもしれません。
「心理占星術」が生まれた背景から、現代の占星術とのつながりまで、わかりやすく解説していきます!
Contents
心理占星術とは?西洋占星術との違いはあるの?
心理占星術は心理学と占星術が組み合わさったもの
心理占星術は、心理学と西洋占星術が組み合わさったもの、と聞いて「?」が浮かんだり、違和感を感じる人もいるでしょう。
合理的だったり、科学的な根拠があってこそ成り立つ、という学問としての「心理学」のイメージと、いわゆる科学的な根拠がないとされる「占い」や「占星術」が組み合わさることに、疑問を抱く人がいるのもムリはありません。
ですが、もともと心理学(Psychology)はギリシャ語で「魂」を表す「プシュケー(psyche)」と「知恵・言葉」を表す「ロゴス(logos)」という、2つの言葉で成り立っています。
現代のように科学と占いが分かれていない古代の時代から、占星術は人間の心と星のつながりを探る営みでした。
そこから考えると、心理学によって人間の心の分析が進み、構造が解明されていくのと同時に、占星術に応用され解釈が深まり広がったのは、とても自然なことだと言えます。
心理占星術の発祥はユング心理学から?現代の性格占いもここから始まる
占星術の長い歴史の中で、「心理占星術」という言葉が生まれたのは近代に入ってからです。
この源流となったのが、スイスの心理学者C・G・ユング(1875-1961)の存在です。
ユング心理学では、個人の意識・無意識にとどまらず、個人を超え人類に共通して存在するとされる、「集合無意識」も視野に入れた分析をしていました。
また、ユング心理学の特徴的な「拡充法」と呼ばれる、連想を飛ばしながら象徴の意味を探っていく方法論が、まさに占星術をはじめとした占いの解釈によく似たものだったのです。
いわゆる吉凶判断とは異なる、古代から受け継がれてきた星座やハウスといった象徴体系(シンボリズム)と深層心理学を関連づけて、ひとりひとりの心の中に隠された可能性を探っていく…
こうした占星術の心理学的アプローチが盛んになったのが、1970年代後半の欧米です。
現代の星占いでもよく見かける「牡羊座は怖いもの知らずで、純粋で素直…」といった、性格診断的な解釈はここから花開いた、と言えるでしょう。
これから心理占星術の発祥〜歴史的背景まで、解説していくぞ!
心理占星術が現代の占星術のベースになるまで|歴史的背景を解説
実は、ユング以外にも心理占星術の先駆者と呼べる人がいます。
1930年代から音楽活動の傍ら占星術師として活躍し、個性を育み人間的成長の可能性を引き出す占星術を実践した、ディーン・ルディア(1895-1985)。
宿命論など外から押し付けられた基準によって自分を規定したり、価値を判断するのではなく、内側の性格を磨きあげていくことで自分の人生を生きていける、と説いた「近代占星術の父」、アラン・レオ(1860-1917)。
…こうした人間の心と占星術を関連づけてきた先駆者がいますが、ここでは現代占星術のベースとなる心理占星術の発祥を中心にしてお伝えしますね。
ユング心理学が占いの解釈を広げる
近代以降、合理主義的な考え方の台頭によって影をひそめてしまった、古代の伝統的な占星術の象徴体系を、自らの心理学を用いて甦らせようとしたのが、C・G・ユングです。
現代占星術の心理学的アプローチが盛んになったのは、1970年代。ユングの晩年〜没後にあたります。
心理療法の分野で、カウンセリングなどの訓練を受けながら占星術を学ぶ人が増えたことによって、80年代には心理占星術ブームが起こりました。
ユング心理学に影響を受けた占星家たちは、ユングが考えた心の構造モデルの中にある無意識の世界が、占星術の出生図(いわゆるホロスコープチャートですね)の構造とそっくりなことに気づきます。
また、ユングは「集合的無意識」の中に、人類全体が先天的に備えているパターンとなる「元型(アーキタイプ)」を見出していました。
「元型」とは、昔から言い伝えられている物語によく出てくるような、いじわるな継母、戦うヒーロー、ドラゴンといった特定の性格づけをもつ普遍的なキャラクターイメージ、といえば伝わるでしょうか。
こうしたユングの心理学を用いて、ホロスコープの惑星や星座の象徴体系から、その人自身を突き動かしている元型的なイメージを読み取ろうとする心理占星学が生まれました。
ユング心理学から影響を受けた占星家〜現代占星術の礎
もともと占星術には「マクロコスモス(大宇宙)とミクロコスモス(小宇宙)は、お互いに連動しあっている」という考え方が基礎にあります。
いわばミクロコスモスとしての人間の心・魂は、大宇宙のミニチュア。
無意識の世界とホロスコープの構造がそっくりなことに気づいた占星術師たちは、驚きと感動に包まれたのではないでしょうか。
この流れを継いで、現在の心理占星術の基礎を作ったのが、リズ・グリーン(1946-)です。
それまで占星術は神秘主義的だったり、オカルト的な発想込みで語られていましたが、リズ・グリーンは自著で、占星術の象徴体系をユング心理学で語りきることに成功したのです。
ユング派の心理療法家であり、占星術師でもあった彼女の著書は、占星術の世界で一大ムーブメントを起こしました。
以降、占星術を用いて心理的なことに言及する心理占星術は、現代占星術の考え方のベースとなり、一般化していきました。
占星術を用いて人の心に向き合うためには、心理占星術の視点は欠かせないものとなったのですね。
現代では心理学によって心のメカニズムの解明が進み、それぞれで用いる心理学派や理論によって、占星術の象徴の解釈も深く広くなっています。
心理占星術が生まれる以前の占星術はどう違う?解釈を比較してみよう
心理占星術が生まれる以前の占星術は、現代ではいわゆる古典派、伝統占星術と呼ばれています。
心理占星術が生まれる以前の占星術とは、どういうものだったのでしょうか?実際に解釈の具体例を比べてみましょう。
かつて土星は「不運の星」だった?心理占星術以降の解釈との違い
たとえば個人のホロスコープで見た場合、土星を例にあげてみると、かつては「凶星」「不運の星」とされていました。
現代の占星術では、土星は「成長するために与えられる、課題や試練」と解釈されます。
厳しい印象は共通しているものの、かなり違った解釈になりますよね!
今から100年以上前ともなると、市井の人々は衣食住を満たすことで精一杯だった時代。
そこにさらに試練を与えられるとなると、命や生活の存続に関わる事態に発展しやすかったので、「不運」と表したのかもしれませんね。
そうした時代背景を考えると、かつての解釈も一理あったのだろう、と推測できますね。
伝統占星術では土星だけでなく、ほかの天体の解釈も異なってきますし、ホロスコープの作り方自体も現代占星術とは異なります。
心理占星術が生まれて以降、占星術は実際の人の心の動きと対応したものになっていったと言えるでしょう。
【まとめ】心理占星術は人間の心に寄り添う現代占星術のベース
心理占星術が、現代の占星術の解釈に大きな影響を与えていることがわかりましたね。
かつて占星術が吉凶判断や「当てる」ことを重視していた時代を経て、心理占星術は人の心によりフォーカスし、寄りそう現代占星術のベースとなりました。
心理学の視点が欠かせなかったのね〜。
読者アンケートでいただいたオススメ勉強方法をまとめているわよ♪