命日のホロスコープから故人のメッセージを読み解く「命日占い」。大切な人の死の悲しみから解放され、生きる意味を見つけられたら…という想いから生まれた、かげした真由子先生発案の新しい星読みです。
この記事では、かげした真由子先生に寄せられたご相談から、亡くなった方の命日のチャートを読み解き、生きているご依頼人の魂との関わりを紐解いていきます。
第6回目は、「突然亡くなった父が僕に伝えたかったメッセージを知りたい」というM雄さん(男性)からのご相談です。
※ かげした真由子先生のブログの過去記事を再構成して掲載させていただいています。
※ 現在、かげした先生は命日占いの鑑定を受け付けておりません。
Contents
命日占いとは?星読みで亡くなった人からのメッセージを読み解く
命日占いは、星読みの知恵をベースに、命日のホロスコープから故人が今を生きる私たちへ向けたメッセージを読み取ろうという新しい試みです。
命日を「もう一つの誕生日」として捉え、かげした真由子先生が独自の解釈を加えて、命日のホロスコープから亡くなった人と残された人との関係性やメッセージを読み解きます。
私たちにとって受け止めることが難しい「死」を、生も死も人間にとって大切な節目であることをあるがままに受け止めようとする、かげした真由子先生の祈りの気持ちがベースになっています。
【相談内容】突然亡くなった父からのメッセージを命日占いで知りたい
M雄さん(男性)からの相談内容です。
今から約7年前…。父が家で倒れているのを発見。少し前に電話で話したばかりだったのに。
生前、父は心の病の母の面倒を見ていた。今から思えば母は治療が必要な心の病だったけど、父が一人で面倒を見てきた。小さい頃、母は病気の影響か僕のことを「あんたはほんまにM雄くんか?」と口走ったり、時にヒステリックになるなど、子供心に寂しい思いをしていたのを思い出す。僕の弟も軽度の知的障害と診断され、父はそういった僕たち家族を養っていた。というと、父は面倒見が良かったように聞こえるが、子供の僕から見て父は、母のことを理解しているようには見えなかった。
現在、母は健在で介護施設に入っていて、僕とも普通に会話ができる。息子としてなんだか嬉しい気もする。その反面、父の死も、母の病気ももっと早く対応できていれば…という後悔の念がないわけでもない。
僕は成人を超えても、定職になかなかつかない時期があり、ちょうど父の死も僕が実家に出戻っていた時に起こったことだった。出戻りつつも、家で自分の技術を活かしてできる仕事に取り組み始めた時だった。
昔のことに思いを馳せてみると…子供の頃、母の面倒を見ることに限界を感じていた父は刃物を持ち出すこともあった。僕が定職につかずに出戻っていた時も、その時の記憶はふと蘇り、父が何かをしたわけではないのだが、部屋にあるアウトドアグッズの父のナイフを見た時、「このままでは殺されるかもしれない」となぜか思ったこともあった。
父を一言で言うと怖いところもあった。そういうところは自分とは違うが、しかしなぜか「自分に似ている」と思う。父を見ていると「なんだか自分のようだ」と感じていた。
そんな父は晩年も、弟と母の面倒を見ながら暮らしていた。恐らく、僕が出戻っていなかったら父の発見は遅れたのではないかと思う。もし、僕が発見できなかったら大変なことになっていたかも…と思うとゾッとしたりもした。何の予兆もない死だったが、母の病気を始め、僕が何とかできたこともあったのではないかと思う。そして、父も今から思えば、いろいろ僕に言いたかったこともあったのではないかと思う。
M雄さん(男性)
かげした真由子がホロスコープから読み解く M雄さんの人生のテーマ
今回は最初に、M雄さんの出生ホロスコープを読むことにしました。
M雄さんの出生ホロスコープを見ると、8ハウスというエリアにたくさんの星を持っています。
8ハウスは血の繋がりから様々なものを受け取る部屋であり、深い繋がり、継承、生と死…といった「普段はあまり見ない世界」を表します。
M雄さんは「自分の人生を生きよう」とするとき、ご家族を初め、人との深い関係に焦点があたることを物語っています。
M雄さんの場合、この8ハウスのカラーは、天秤座となります。
8ハウス=一点集中で深く繋がる場、これに対して天秤座=その場の調和を求めます。
決して、親和性のある組み合わせではありません。
逆の組み合わせです。
家族の繋がりを守るために、バランスを取る役割を担当しやすいことを物語っています。
M雄さんにとっては、時として葛藤になる箇所でもあります。
「8ハウス・天秤座」は、M雄さんが家族という集合無意識の中で必要な役割を、無意識に担うことを表しています。
「8ハウス・天秤座」の配置のすべての人がそうだと言うわけではありません。
M雄さんからお聞きしたことから私、かげした真由子が感じたことです。
M雄さんはなかなか定職につくことができず、ご家族と一緒にいる期間が長かったと言います。
M雄さんは、ただ「定職につけなかった」と思っていらっしゃるかもしれませんが、ご家族が定職に就かないことを必要としていたのかもしれません。
M雄さんは気づかぬうちに自己実現を諦め、ご家族の中での役割を優先させていたのかもしれません。
「自分の人生を思いっきり実現できない」という悩みを常に抱えていたのではないでしょうか。
M雄さんが子供の頃から、お母様は不安定でヒステリックだったり、弟さんが知的な障害を持っていたり、
家族を支えているお父様もご家族を支えきれずに怒鳴ったり…という一面もあったそうです。
(現在、お母様はしっかりと治療を受けており、回復に向かっています)
そういった経緯から、M雄さんは私に「もっと早く父も母も対応してあげればよかった」と後悔の念をお話して下さいました。
しかし、子供の頃からその環境を当たり前として育ってこられ、お父様との関係を考えるとなかなか難しい状態だったのではないでしょうか。
【お父様の命日】M雄さんのサターンリターンと重なる意味とは
お父様の命日となった年は、M雄さんがサターンリターンを迎える年でした。
サターンリターンとは、ご自分の生まれた時の土星の位置に、経過中の土星が重なる時。
宇宙を運航中の土星が、M雄さんの出生ホロスコープの8ハウスにある土星に重なり、それから数ヶ月後にお父様は命日を迎えられました。
サターンリターンは、30年に1度の占星術での節目です。
占星術では「真の成人式」といった意味合いを持ち、論語で言う「三十にして立つ」に近い意味合いを持っています。
しかし、「華々しいお祝い」というよりは「生きる現実と向き合う」という出来事を経験しやすい人生の節目です。
土星は「自分の人生」という現実に引き戻す惑星でもあります。
M雄さんはお父様の命日という節目を境に、真の自立を歩むことになったわけです。
M雄さんは男性ですので、特に同性の親であるお父様との別れは、まさに「男性としての独り立ち」のような象徴もあります。
家族のバランスを取る役目であったM雄さん。
お父様の命日はそこからの旅立ちのように思います。
ちょうどお父様の命日の後から、M雄さんは少しずつ専門的なお仕事に従事されるようになったとのこと。
タイミング的にも人生の節目だったことは星的にも事実的にも合致しています。
【僕と父は似ている】M雄さんの出生ホロスコープが表す家族の形
M雄さんが「僕と父はどこか似ている」と言っていたのが印象的でした。
ホロスコープを見ると、ただでさえ縁の深い父と息子という関係なのに、お二人のご縁がなかなか深いことがわかりました。
M雄さんの出生ホロスコープを見ると、先祖とのつながりをも表すICという感受点に月があります。
そこにお父様の出生ホロスコープの土星と天王星が重なっています。
月は、最も柔らかな質感の星で、最も色々なものを容易く受け取り、吸収してしまう天体です。
ここで土星・天王星という月には重たすぎる天体が乗っている…ということはお父様から様々なものを吸収せざるを得なかったことを物語っています。
お父様が自分一人では抱えきれない課題を、息子さんであるM雄さんがお手伝いしてしまう。
特に小さい頃にその影響は現われていたのではなでしょうか。
出生ホロスコープの月は、幼少期のM雄さんでもあります。
実際に、幼少期のお話を聞くと、「心の病気である母は、息子の僕のことがあまりわからないようで寂しかった」とのこと。
そんな経験を通して、お父様の背負っている「お母さん」(という課題)をM雄さんも一緒に背負っていたのでしょう。
月は無意識を表します。
お父さんの荷物を一緒に持つことは、M雄さんにとっては「あたりまえ」過ぎて、一緒に持っているどころか、その感覚さえなかったかもしれません。
元々持っている「客観視する力」があるので、頭に残っている記憶としては「父を側から見ていただけ」という記憶の方が濃いかもしれません。
しかし、M雄さんの人生では、お父様が旅立たれる時期まで、M雄さんはご自分が思っているよりも、身動きが取れない状態は続いていたのではないでしょうか。
もちろん誰のせいでもなく、あらゆる複雑なご家族の関わりの中で「そうなってしまっていた」のです。
【お父様の命日】M雄さんの役割が変化するタイミング
M雄さんが定職になかなかつけなかったのは、もちろんご家族の影響ではないのですが、
自分のいる場所の調和を大事にするM雄さんにとって、自己実現だけに邁進できなかったのでしょう。
誰かが良い悪いではなく、全て無意識下で起こっていたことで、ご家族の集合無意識下で起こっていたことだと私、かげした真由子は思います。
ご家族のそれぞれが、それぞれの役割を担うことで、家族同士がかろうじてバランスを保っていたのです。
M雄さんは、ご自身の「自己実現」を脇に置いておくことで、ご家族全体がギリギリのところでバランスが取れるような役割を担当されていたのでしょう。
そして、ある日突然訪れたお父様の命日を境に、良くも悪くもそのバランスは意味をなさなくなり、M雄さんの役割も変わっていきます。
M雄さんの人生の流れが、お父様の命日と重なったサターンリターンを節目に変わっていったのですね。
命日ホロスコープから読み解くお父様のメッセージ
M雄さんのお父様がどんなことを語りかけているのか、お父様の命日ホロスコープから読み解いていきましょう。
お父様はとてもストレートな方でした。
そのストレートさは根っからの豪快さや寛容さから生まれたものではなく、自分の繊細さを感じたくないための防御であったように思います。
奥様の心の病についても、どこか問題と感じていながらも「問題と思いたくない!」と強く思っていたかもしれません。
M雄さんは「もっと早く問題に対応していれば」と言っていましたが、これはなかなか難しかったと思います。
その理由は2点あります。
1点目は、M雄さんにとってはこの家族が日常だったからです。
何が問題なのかを見つけづらかったのだと思います。
2点目は、お父様自身が一人でなんとかしようとしていたからです。
お父様にとってこの問題は、「どうしようもない」という諦めや苛立ちのようなものに近かったかもしれません。
心の病を持つお母様に接するお父様を見て育ったM雄さんは、お父様の在り方を尊重せざるを得なかったのでしょう。
複雑な状況の上に、お父様は「この問題を感じたくない!見たくない!」というベールをかけていました。
何かを曖昧にすることで、生きやすさをなんとか手に入れてこれたのかもしれません。
お父様の命日ホロスコープから聞こえてくるメッセージ。
私にはこう聞こえます。
私は、自分が抱えている問題を誰かに委ねることができない人生だった。問題解決を何処かで諦めることで自分を保ち続けることが私の生き方になってしまった。でも、M雄には同じ道を歩んでほしくない。
お父様は生前、苛立ち、諦めながらも、お母様や息子さんたちのことを大切に思っていたはずです。
しかし、家族間での愛情表現は、第三者や身内でさえも理解できないものがあります。
お父様は愛情をうまく伝えられなかったのかもしれません。
お父様の命日ホロスコープからわかるお父様とM雄さんとの関係性
M雄さんの出生ホロスコープとお父様の命日ホロスコープを重ねて読み解いていきます。
お父様の命日ホロスコープとM雄さんの出生ホロスコープには次のような特徴があります。
1.M雄さんの出生ホロスコープにお父様の命日ホロスコープのドラゴンヘッドとドラゴンテイルが重なっている
2.アセンダントに(横軸)お父様の命日ホロスコープの海王星が乗っている。
1.M雄さんの出生ホロスコープにお父様の命日ホロスコープのドラゴンヘッドとドラゴンテイルが重なっている
M雄さんの出生ホロスコープのアングル(縦軸IC-MC軸)に、お父様の命日ホロスコープのドラゴンヘッドとドラゴンテイルが重なっています。
これは、未来を切り開きたい自分が社会へと出て行く配置でもあると同時に、自信がなくなると過去に閉じこもってしまう自分がいる状態でもあります。
自立欲求と、役割を抜け出すことへの罪悪感とがシーソーのようになっています。
でも、その葛藤の中にお父様がエールを送っています。
2.アセンダントに(横軸)お父様の命日ホロスコープの海王星が乗っている。
M雄さんの出生ホロスコープのアセンダントに(横軸)お父様の命日ホロスコープの海王星が乗っています。
海王星は、お父様を代表する天体です(お父様の出生ホロスコープは太陽と海王星と月が重なっている)。
お父様の星=「海王星」が、M雄さんの行動のきっかけを表すアセンダントに乗っている。
例えるなら、M雄さんの行動力や決断力に関わるところをお父様がしっかりとサポートしているのです。
「M雄ならできるだろ」
そうお父様が言っているようです。
M雄さんはすでにお父様の意思をしっかり受け継いでいる
お父様の命日ホロスコープは、「これから先は、おまえが決めていいよ」と言っているようにも見えました。
お母様のことも、自分のことも「自分で決めてやればいい」と言っているようです。
お父様がご家族に対して持っていた課題を、M雄さんに自分と同じ形で引き継がせたくないという愛情の表れだと思います。
お父様はご自身の死をもって、この「苛立ちと諦め」で行き詰まっていた問題を手放されたようにも思います。
お父様のアイデンティティは、いつもご家族の問題とともにあったのです。
だから問題を手放すことは、自分が自分ではなくなることに等しかったのかもしれません。
息子さんであるM雄さんには「自分と同じように問題を背負わないでほしい」と
思っていたのですね。
「自分と同じような愛情表現はしなくていい」と。
「M雄はもっといろんなやり方を知っているだろう」と…。
現在、お母様は治療を受けられて、M雄さんはお母様とも時折会話を楽しむことができ、子供の時の自分が救われたような経験をなさっているようです。
今の様子をお聞きすると、お父様の意思はM雄さんによってしっかりと尊重されているのだなと思います。
【命日占い】鑑定を終えて
M雄さんのお父様の出生ホロスコープは、愛に対する不器用さが滲み出ているように感じました。
だからなのか、私に語りかけてくることも少し不器用でした。
ホロスコープは本当にその人を表していると感じます。
- 雄弁に語るホロスコープ
- 私が何度も問いかけて、ようやく1つのヒントが得られるホロスコープ
- 感覚だけに訴えかけてくるホロスコープ
占星術のセオリー通りに読んでいても、受け取るものは個性に溢れています。
今回の鑑定は、「理屈」「言葉」で飛び込んでくるようなものではありませんでした。
あくまでも私、かげした真由子の推測ですが、ホロスコープから受ける印象そのものがお父様のお人柄だったのではないかと思います。
もちろんお父様は誰のことも責めていません。
そして深い罪悪感を持たれているのでもありません。
お父様が今、天で取り組んでいることがあるとしたら、「ストレートに人を愛すること」かもしれません。
そして、「私はこういう方法でしか人と一緒にいられなかったけど、M雄はそうじゃないの知ってるからな。お前はうまくやれよー」といった、
「お前はうまくやれる」「お前はうまくやれる」「お前はうまくやれる」というメッセージを一貫して投げかけていますよ。
お父様は、M雄さんがいろんな方と繋がり成長していく姿をとても喜んでいるのではないでしょうか。
「お前はうまくやれる」
この言葉は、M雄さん自身がなによりわかっているでしょう。