春分は季節の始まりを表すとともに、1年間のスタートです。社会はどんなムードになるの? 私たち一人ひとりはどのように受け止めればいいの? 星読みテラスを監修する西洋占星術師・かげした真由子先生がこの1年をより良く過ごすヒントをお届けします。
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2021年の春分は3月20日【1年を読み解く大事な日】
2021年の春分は3月20日。
年によって21日だったり20日だったりしますが、牡羊座に太陽が入った瞬間のホロスコープ(チャート)を「春分図」といいます。
図のとおり春分は、冬という陰の時期が終わり、陽のエネルギーに移行する変わり目です。
土の中で発芽している芽が大地を突き破り、太陽という陽のエネルギーに向かいぐんぐん成長していく、エネルギーに満ちあふれる時期です。
春分は、占星術で1年を読み解くうえでとても重要な日です。
春分が訪れた瞬間のチャートは、いわばその年が生まれた瞬間のホロスコープ。
2021年3月20日の「春分図」を読めば、今年1年の社会の動向が見えてきます。
とくに夏至までの過ごし方を教えてくれますよ。
春分図を読む前に伝えたいこと
私は占星術を扱う一人として「たしかに星の動きと社会の動きは符合している!」という体感はありますが、
具体的すぎる予言をすることや、天変地異などを無理やり星に当てはめる解釈は好きではありません。
2020年のコロナ禍に関しても正確に予言した占星術師はいませんでした。
占星術に予言的側面があることは否定しませんが、歴史の中で試行錯誤され積み重ねられてきた占星術の本質は「予言ではない」と考えます。
占星術は、常識や科学という枠組みの外にある営みです。
私たちは時に、常識や科学では説明できないようなことを経験します。
そのような予想外の出来事に出会った際に洞察を与えてくれるのが占星術。
私は、枠内の世界では得られない「ひらめき」や「気づき」を与えてくれるものとして占星術を学び、みなさんにお伝えしたいと思っています。
普段は目を向けない集合的無意識や社会で起こっていることに関心を寄せたり、気づきを得たりするための試みとして、「春分図」の解説をお届けします。
占星術の解釈をお伝えする時は便宜上どうしても、占星術のルールや世界観において言い切る表現をしますが、
皆様にはどうか解説を盲信せず、客観的な視点から「へえ、そういう見方もあるんだな」と、純粋な興味を持って読んでいただけると嬉しいです。
またどこか別の場所で、占星術をもとにした予言のような発信をご覧になったとしても、「不安になる必要はない」ということも、加えてお伝えしておきたいと思います。
「そういう見方もあるんだな」という客観的な物事の捉え方は、実は「風の時代」に必須なのです。
2021年3月20日の春分図とは?
2021年3月20日東京の春分図です。
牡羊座に太陽が入った瞬間の図なので、太陽がちょうど牡羊座の0度0分にありますね。
2021年3月20日の春分図には次のような特徴があります。
春分とは、2021年が生まれる日=誕生日です。
今年はどんな1年になるのか、6つの特徴を順番に読み解いていきましょう。
他者との関わりが増える2021年
①ASCは天秤座11度〜MCは蟹座12度(数え度数)
ASC(アセンダント)はその年のキーワードを表します。
2021年のASCは天秤座です。
天秤座は12星座の中で7番目のサイン(星座)。
人間の意識の発達に例えると、ここから社会や集団との関わりが強くなっていきます。
日本という国が海外に向けてオープンに関わっていくとも言えますし、私たち一人ひとりの個性も、個人から発するものというよりは対人関係や集団の中で見出していくものとなりそうです。
コミュニケーション、パートナーシップというキーワードに注目が集まる1年となりそうです。
西半球(右半分)に偏った天体も、相互関係や外的な要素を表しています。
天秤座のアセンダントはMCの蟹座に影響を与えます。
対人関係や集団の中で見出した個性を、身近な仲間や家族に還元していくという流れです。
インターネットを介して、たくさんの人と積極的に関わるムードは今後も高まりそうですが、
結局は「家族や身内などの安心安全な自分の居場所が大事」という境地に至る人が多いのではないでしょうか。
国民の健康・医療は改善されつつも曖昧なまま
②6ハウスに注目要素
・ASC天秤座の支配星が6ハウスに
・6ハウスの太陽と金星が0度
2021年3月20日の春分には、6ハウスに多くの天体が滞在します。
1年のカラーをあらわすASCのサイン天秤座の支配星・金星も6ハウスに滞在しています。
6ハウスは「国民の健康・労働環境・職務・衛生・食料問題」を表します。
6ハウスに天体が集まる配置は、今年を語るうえで重要なものと考えられるのです。
6ハウスで太陽と金星が0度(コンジャンクション)というだけでなく、高度医療や治療を象徴するカイロンも隣接しています。
金星は心地よさを、一方で太陽は国民にとってのリーダーシップを表します。
といったことから、2020年に始まったコロナ禍に対する国の対応策は、調和の取れたものへと改善されていく可能性があります。
ただし6ハウスには海王星もあり、物事の曖昧さや無責任さを強調しています。
国の対応策が改善され、ワクチンや治療法なども進化する可能性大ですが、効果の保証や詳細な情報に関しては、まだまだ曖昧さを残したままとなるでしょう。
海王星が位置する魚座に、情報を整理しようとする水星があります。
魚座の水星はイマジネーションを広げてはくれますが、歯切れのよい情報を表すものではありません。
治療や予防法に関しても噂だけが大きくなり、選択については、国民一人ひとりの意思(責任)に任されていると言えるでしょう。
「どんな情報と繋がるか」を問われる1年に
③3つの90度(スクエア)
・土星と天王星
・月と海王星
・水星と火星
他者との関わりが増えるけれど、気がかりな健康や医療の問題は曖昧ないまま…という2021年のムードの中、私たちは何を思い、どのように過ごしていくのでしょうか。
それは、国民をあらわす月を見ればわかります。
月は双子座のほぼ真ん中、数え度数17度にあります。
双子座は情報や知性を表しますが、特に双子座のサイン(星座)の真ん中に位置する月は、情報や交流の多さ、情報から受ける影響の大きさを物語っています。
さらに2021年3月20日春分の月は、海王星と90度(スクエア)という厳しい角度に。
海王星はあらゆる境界線を超えて物事を曖昧にしていきますから、国民(=月)は混沌とした情報の中で、ありとあらゆる影響を受ける1年になりそうです。
春分の月は9ハウスにあります。
9ハウスは、海外・貿易・宗教・高いレベルの知識や教養・法律などを表します。
私たちは実用的な情報だけでなく、より広いところから情報を集めようとしますし、個々の人生をより高めてくれるような情報を求めていくでしょう。
また、2021年3月20日の春分には、情報を表す水星と衝動の火星も90度(スクエア)です。
情報の求め方が過剰になり、フェイクニュースや曖昧な情報も飛び交うでしょう。
自分は「どんな質の情報と繋がっていたいのか」を、常に意識しておくことが大切だと思います。
社会的な課題に目を向け対話を重ねる
④風のグランド・トライン(ASC天秤座ー土星水瓶座ー火星双子座)
⑤2つの120度(トライン)
・火星と土星
・月と木星
2021年3月20日の春分図では、国土や農作物(農業)、地下資源などをあらわす4ハウスに土星と冥王星が滞在しています。
土星は試練を表し、冥王星は大いなる変容という解釈が一般的です。
そう考えると「災害」といったキーワードが浮かびそうですが、私は「過去から引き継がれたなにか」を思い浮かべました。
いわゆる社会情勢を読むときの基本からは外れるかもしれませんが、
土星は「蓄積されたもの」。
冥王星は「核」。
個人的にはどうも、2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故から10年が経過したこととの符合に思えます。
春分図の星の配置が原発事故を示しているのかどうかはさておき、
そういえばここ最近の「新型ウィルス騒ぎ」で、原発事故を忘れかけていた人もいるのでは?と思うわけです。
春分図を読む意義を、「いつもはあまり目を向けない個人的なこと以外に目を向ける機会」と捉えるなら、
10年経ってもなお解決していない、国の問題に目を向けてみることも大切かもしれません。
原発の課題に限定せずとも、この土星を「社会的な課題」と捉えてみましょう。
4ハウスにある土星は天王星と90度(スクエア)の関係です。
天王星は覚醒・変革・進化を象徴する星ですから、これまでのやり方がずれたまま積み重ねられてきたものをまっすぐに見て、改善していくチャンスが訪れていることを物語っています。
個人的に活用するなら、悪習慣(=土星)を断ち切る(=天王星)といったように、
うんざりしていた旧い環境に新風を巻き込むことにも活用できそうです。
また、火星が土星に120度(トライン)というクリエイティブな角度をとっています。
さらに天秤座のASCを加えると、完全調和ともいわれる風のグランド・トラインが出来ています。
これはとてもクリエイティブな形であり、ごく自然にまわっていく風のエネルギーです。
風とは知性や言語、情報ですから、この世の調和が情報の健全な循環によって形作られていることを実感する1年となりそうです。
個人レベルでは、ネットの世界を通じて多くの人が活発に会話することを物語っています。
芸術やエンタメに注目が集まる1年
⑥3つの60度(セクスタイル)
・水星と天王星
・金星と冥王星
・太陽と冥王星
変革の天王星に水星が60度(セクスタイル)という生産的な角度を取ります。
行動力を発揮することで、段取り良く置き去りだった課題に取り組んでいけそうな追い風もありそうです。
4ハウスに横たわる山羊座の冥王星は、水瓶座に移行できず取り残されたように見えます。
「地の時代」から「風の時代」の移行の中で、まだ終わっていない変化を表しているかのようでもあります。
時代の揺らぎの中で、変化に合わせていく困難さを物語っているようでもありますね。
とはいえその冥王星に、太陽と金星が60度(セクスタイル)という生産的な角度を取っています。
芸術やエンターテインメントが自分を変容させたり、課題に取り組むことをスムーズにさせてくれるようなムードを感じます。
人の生き方を変えるようなエンタメが出現するかもしれませんね。
【まとめ】この時代に生まれた意味を考えてみよう
新しい時代の幕開けとなる2021年3月20日の春分。
時代が移行する揺らぎの中で調整を迫られるムードが続くことは否めません。
ですが、なにか新しい進化を感じさせる春分図ともいえます。
大きな変化の時代を選んで生まれてきた私たちにできることはなにか?
いま一度考える材料にしていただければ、嬉しく思います。