ルドルフ・シュタイナーは、現代ではシュタイナー教育の提唱者としてよく知られています。
シュタイナーのイマジネーションあふれる教育思想には、宇宙と人間、そして目に見えない感覚に到るまで、星と人のつながりの探求が反映されています。
その智恵の数々には、現代の西洋占星術にも通ずるものが多くあります。
占星術を学んだことのある人なら、多くの共通点が見つかるのでは?と思います。
さっそく紹介していきますね。
Contents
シュタイナーってどんな人?|人智学を提唱した神秘思想家・教育者
ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)は、19世紀末からオーストリアやドイツで活動した神秘思想家、哲学者、教育者です。
科学、芸術、教育、医療、農業など、彼の思想体系は多岐におよび、精神世界を科学的に研究した思想を「人智学」として、創唱した人でもあります。
シュタイナーの遺した構想や人智学の中でも、とくに教育、農業、医療の分野の実践的なノウハウは、今も世界各地で受け継がれています。
中でも有名なのがシュタイナー教育、およびシュタイナーが設立したシュタイナー学校(ヴァルドルフ学校)でしょう。
シュタイナー教育のはじまり|バランスよく調和した成長のための智恵
シュタイナー教育とは、ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育芸術・教育思想を実践するヴァルドルフ教育の、日本での通称です。
シュタイナー教育では、子どもの個性に光を当て、自分の意志で動く力を身につけ、自律して人生を歩んでいけるようになることを重視しています。
一人ひとりそれぞれの個性や育ち方があり、どんなときでも求める答えは自分で導き出せると考えているのです。
そのためには、「あたま」と「こころ」と「からだ」がバランスよく調和することが大切だと、シュタイナー教育では説いています。
大人になったときにどこかひとつだけ偏って発達して、感情的になりすぎたり、頭でっかちになったりするのはよくない、ということですね。
シュタイナー教育では、バランスよく調和した成長を促す智恵があちこちにちりばめられています。
この記事では、たくさんある智恵の中から「7年期」「四気質」「12感覚と12星座」という、現代の占星術にも共通している3つの智恵を紹介していきます。
シュタイナーの人間の成長7年期と占星術の年齢域を比較
シュタイナーは「人間は星々を通って生まれてくる」と考え、さまざまな視点から星と人間のつながりを探求していました。
生まれてからの人間の成長を7年ごとに区切って、その時期にあった成長を促すシュタイナーの考え方は、占星術の年齢域の考え方と通ずるものがあります。
実際のシュタイナー教育の現場で使われている「7年期」と、西洋占星術の「年齢域」を比較してみましょう。
シュタイナーによる子どもの成長段階・7年期
シュタイナーは人間の成長を7年ごとに区切って、それぞれの7年で育てるのにベストな期間があると考えていました。
- 0~7歳:「からだ」の基礎をつくる時期
- 7~14歳:「こころ」を育てることが大切な時期
- 14~21歳:「あたま」を育てることが大切な時期
さらに細かく体の部位によって分けたりもしますが、大枠はこの7年期です。
生まれてから最初の7年を第1七年期とし、親から受け継いだ「からだ」の基礎をつくる時期ととらえ、頭や胸、腹部・手足などを育てていきます。
次の第2七年期(7~14歳)は、胸の領域、「こころ」を育てる時期です。
7歳までに組み上げたからだの基礎パーツと、こころをバランスよくつなげて育てていきます。
そして次の第3七年期(14~21歳)は、「あたま」を育てる時期です。
「子どもの知能を発達させるのは早ければ早い方がいい」という考え方もありますが、シュタイナー教育では「あたま」=思考力をメインに育てるのは14歳以降と考えています。
それまでは「からだ」=手足を動かし、「こころ」=感情を豊かにする体験をたくさんすることが大切、としています。
西洋占星術の発達段階の年齢域
それでは西洋占星術でよく語られる、発達段階の年齢域はどうなっているでしょうか。
図で比較してみましょう。
どちらもだいたい7年ごとで年齢を区切ってるのが似ているね…!
占星術の年齢域については、こちら↓の記事でくわしく読めるぞ。
シュタイナーの四気質と占星術の四区分(エレメント)を比較
シュタイナー教育では、一人ひとりの本質である個性をきちんと見きわめ、理解し、それを伸ばしていくことを目指します。
その本質、個性がふるまいとして現れるものが「気質」です。
シュタイナーはこの「気質」を「胆汁質」「多血質」「粘液質」「憂鬱質」の4つに分類し、教育に活かしています。
それぞれどんなふるまいとして現れるのかみていきましょう。
シュタイナーによる四気質
【 胆汁質 】…「火」のイメージ。
リーダータイプでエネルギッシュ。
意志が強くて議論好き、行動力もあって正義感にあふれています。
世の中で起きていることや未来に関心があり、チャレンジ精神も旺盛です。
困難や課題にトライして、それを乗り越え、達成感を得ることにやりがいを感じます。
子どもっぽい熱を持っていて、融通がきかないことも。
【 憂鬱質 】…「土」のイメージ。
現実的で変化を好まず、大地に根を張るようなどっしりとした重さを感じます。
自分自身のポリシーに忠実で、頑固な一面も。
物事に深く関わり、自分の中にも深く入り込む傾向があります。
過去を振り返りやすく、現実的で複雑な話など「重さ」を自分の中に取り入れるので、憂鬱を感じやすいでしょう。
自分の世界を大切にし、ひとりでいる時間を必要とします。
【 多血質 】…「風」のイメージ。
風のように移ろいやすく、ふわふわと興味がおもむくままに飛び回ります。
陽気で感覚的、あきっぽい性格ですが、情報通で社交的。
いろいろなことを知りたがります。
今この瞬間にしか興味がないので、ささいなことは忘れてしまい、物事を深く考えない傾向があります。
同じことを続けるのは不得意です。
幼児期の子どもは、この「多血質」が強い傾向があり、本来の気質は7歳以降に現れやすいようです。
【 粘液質 】…「水」のイメージ。
穏やかなのんびり屋で、人の感情を理解します。
内省的で自分のペースを崩すことを嫌い、動作や外の世界との関わり方がゆっくりとしています。
自分の世界の中で幸せを感じられるので、自分の外の世界への興味が乏しいよう。
ぼーっとしていて、呼びかけても反応がないことも。
ただ、お手本に従うことは得意なので、何かを頼むときっちりやる傾向があります。
こだわりが強く、興味のあることに関しては飽きずに続けられます。
西洋占星術の四元素(エレメント)
ここまで読んで、占星術の四元素(エレメント)を知っている方は、かなりうなづけるものがあったのではないでしょうか。
西洋占星術における、12星座を四つに分けた「四区分」をみてみましょう。
【 火のエレメント 】…牡羊座・獅子座・射手座
「火」は、炎が上へ燃え上がるように、向上心の強さや、冒険心、野心、情熱を象徴。
周りにエネルギーを与えたり、物事を変容させるという性質があります。
・前向き
・ものおじせず理想に向かって突き進む
・自分の力で新しい道を切り開いていこうとする
・直感のままに行動する
・白黒はっきりさせたい
・自分にも周囲にも誠実に対応する
【 地のエレメント 】…牡牛座・乙女座・山羊座
「地」は触れれば感触があるので、五感をつかってその存在を感じることができます。
また、地は決して動くことはなく、ひとつの場所に留まるため、もやもやとした何かを現実的に形があるものにしていく性質があります。
・受動的で受容的
・地に足がついて安定している
・行動を起こすのに時間がかかる
・触れたり、味わったり、聴いたりといった感覚を通して物事を捉える
・モノやお金など物質的な物事へのこだわりが強い
【 風のエレメント 】…双子座・天秤座・水瓶座
「風」は手に取ることもできず、目でみることもできませんが、常に自由に流れていて、いろいろな情報を運びます。
形にとらわれずにものごとを判断していく傾向があります。
・情報や知識を収集したがる
・外向的で積極的に行動する
・物事をあらゆる角度から分析し捉えようとする
・論理的で、感情的になるのは好まない
・物事の間につながりを見つけ、新しいアイディアを膨らませる
【 水のエレメント 】…蟹座・蠍座・魚座
「水」は常に形を変えながら存在し、別の何かと合わさり、まざり合いながら浸透していきます。
自分の感情はもちろん、相手の気持ちや感情であったり、周りの空気を読んで合わせる傾向があります。
・感受性を大切にする
・相手に共感しようとする
・相手と深い部分でつながりたいと願う
・記憶力が高く、感情的な記憶を特によく覚えている
・自分が感じた気持ちや感情をもとに行動する
占星術の四元素は、古代ギリシャ時代の「この世のすべてのものは火、土、空気、水という4つの基本となる元素の結合からなっている」という考え方からはじまっています。
これをシュタイナーが独自に深め発展させたのが「四気質」、占星術の文脈で受け継がれているのが「四元素」なんですね。
シュタイナー教育の現場では、子どものふるまいなどから気質を見分けて、その子が過ごしやすいよう、クラス分けに応用することもあるようです。
ルーツを辿ると同じなのね〜!
各星座ごとの性質はここ↓で読めるぞ。
シュタイナーの12感覚論と占星術の12星座はつながる?
人間の視覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚をまとめて「五感」と呼ぶのが一般的ですが、シュタイナーは人間の身体感覚は12あると考えていました。
それが、触覚、生命感覚、運動感覚、平衡感覚、嗅覚、味覚、視覚、温度感覚、聴覚、発語感覚、概念感覚、自我感覚の12感覚です。
シュタイナーはこの12感覚と12星座が対応していると考えていたようです。
一覧の表があるのでみていきましょう。
シュタイナーの12感覚と12星座の対応表
【 下位感覚(肉体感覚) 】
感覚 | 星座 | 育つ年齢 |
触覚 | 天秤座 | 0〜2,3歳 |
生命感覚 | 蠍座 | 2,3〜4歳 |
運動感覚 | 射手座 | 4〜5,6歳 |
平衡感覚 | 山羊座 | 5,6〜7歳 |
【 中位感覚(魂・感情の感覚) 】
感覚 | 星座 | 育つ年齢 |
嗅覚 | 水瓶座 | 7〜8歳 |
味覚 | 魚座 | 8〜9歳 |
視覚 | 乙女座 | 9〜14歳 |
熱感覚 | 獅子座 | 14〜16歳 |
【 上位感覚(社会的感覚) 】
感覚 | 星座 | 育つ年齢 |
聴覚 | 蟹座 | 〜16歳 |
言語感覚 | 双子座 | 16歳以降 |
思考感覚 | 牡牛座 | 16歳以降 |
自我感覚 | 牡羊座 | 16歳以降 |
この12感覚と12星座を結びつけたシュタイナーの12感覚論はやや難解で、現代の占星術界では賛否両論あります。
ですが、深く読み解いていくと各星座の性質を読み解くヒントになるかもしれません。
またシュタイナーは、12星座と人体の部位とのつながりに関しても記述を残しています。
シュタイナーの12星座と人体の部位の対応
・牡羊座…頭
・牡牛座…咽頭部
・双子座…腕
・蟹座…胸部
・獅子座…心臓
・乙女座…下腹部
・天秤座…腰
・蠍座…生殖器
・射手座…大腿(太もも)
・山羊座…膝
・水瓶座…下腿(膝から足首)
・魚座…足
そういえば、牡羊座は頭に対応するって、どこかで読んだことがあるわ!
各星座をくわしく掘り下げたい人は読んでみるとよいぞ。
【まとめ】星と人間のつながりを模索・探求したシュタイナー
ここまで紹介した智恵以外にも、シュタイナーは12星座についてたくさんの考察を遺しています。
12星座以外にも、太陽系10天体と人間のつながりや、春分点の位置が変わり「水瓶座の時代」へ移行したときの変化についても、記述や講義録が遺されています。
シュタイナーが、星と人間、ひいては宇宙と人間とのつながりをどんなふうに見出していたのか、気になる人はぜひ著書にふれてみてくださいね。
読者アンケートでいただいたオススメ勉強方法をまとめているわよ♪