死別の悲しみを癒す本として好評を博し、10万部近いベストセラーとなった『命日占い』。このたび続編が刊行されます!
2021/3/16(火)発売の『命日占い〈未来編〉』(サンマーク出版)は、遺された人がさらに前に進むためのエッセンスが散りばめられています。
著者であり「星読みテラス」監修のかげした真由子さんにお話をお聞きしました。
Contents
【命日占い〈未来編〉】さまざまな死の物語とホロスコープを本で紹介
——『命日占い』の第2弾、『命日占い〈未来編〉』を執筆した経緯を教えてください。
『命日占い』を読んでくださった方から「『命日占い』はグリーフケア(死別による悲しみを癒すケア)になる」と評価をいただきました。
ただ私としては、『命日占い』は悲しみを癒すだけではなくて、「生きている人の未来を切り開くものだ」と証明したい気持ちがありました。
証明といっても統計的・心理学的な証明ではなくて。
「大切な人を亡くされた方が星読みを通して前を向いて歩んでいる」と、リアリティをもって多くの人に感じていただきたかったのです。
ですから続編となる『命日占い〈未来編〉』では、子どもを亡くしたお母さんや弟を事故で失った女性など、10人の方の死別のストーリーを紹介しています。
さまざまな別れのストーリーから、自分と共鳴するものを読んでいただけたらうれしいですね。
——今回は、『命日占い』の方法も紹介されているそうですね。
はい。『命日占い〈未来編〉』では、星読み的な解説も入れました。
亡くなった人の命日のホロスコープに、遺された人のホロスコープを二重円で重ね合わせて掲載しています。
占星術に興味をもつ人も楽しめる内容になっていると思います。
【命日占い〈未来編〉】の鑑定ストーリー〜家族が揃うことが大事
——『命日占い〈未来編〉』の内容について少し教えていただけますか。
なおみさんという30代後半の女性の鑑定エピソードをご紹介しますね。
彼女は生後数ヶ月のときにお父さんが自死されたという方です。
なおみさんの『命日占い』の鑑定では、私はいくつかの不思議な体験をしました。
まず鑑定前日に、私は亡くなられたお父さまの夢を見ました。
お父さまの写真を見せていただいたからかもしれません。
私は夢の中で、お父さんに「ご家族に何か伝えておくことはありますか?」と尋ねました。
するとお父さんは「みんなが揃うことが大事なんです」と答えたのです。
「みんなが揃うことが大事だ」という言葉を何回かお父さんは繰り返し、私が「わかりました」と答えたところで目が覚めました。
翌日なおみさんの実家に伺うと、なおみさんだけでなく、なおみさんのご主人やお母さん、育てのお父さんが私を迎えてくれました。
「家族全員が揃っている。お父さんの言葉の意味はこれかな」と思ったのですが、それだけではありませんでした。
——お父さんの言葉にはどんな意味があったのですか?
なおみさんのご家族には、お父さんの自死だけではない複雑ないきさつがありました。
お父さんの死後、お母さんは亡くなったお父さんの弟さんと再婚されました。
なおみさんは2人に愛情深く育てられ、幸せに暮らしてきたそうです。
でもほんの3年前までは、なおみさんはお父さんの自死も、現在のお父さんが亡くなったお父さんの弟であることも知らされていませんでした。
——なかなか話しづらいことかもしれませんね。
そうですね。
家族のホロスコープを見ると、4人の関係性がそのまま表れていました。
なおみさんは双子座、お母さんは獅子座で、亡くなった実のお父さんは蟹座。
そして育てのお父さんは水瓶座でした。
元のご家族を、育てのお父さんが向かい側から温かく見守っているような星の配置です。
ホロスコープを見て、私はご家族の深いつながりを感じました。
けれど、なおみさんにはまだ知らされていないことがあったのです。
——どんなことでしょう?
鑑定が終わり、ふと私が「昨日、お父さんの夢を見たんですよ。『家族みんなが揃うことが大事』と亡くなったお父さんが言ってはりました」とお伝えすると、お母さんの顔色が変わりました。
「何か話したいことがあるかもしれない」と思ってお母さんに質問すると、「実は、なおみには妹がいたかもしれない」と、お母さんがおっしゃるのです。
「妹」とは、お母さんと育てのお父さんとの間にできた赤ちゃんでした。
実のお父さんが亡くなられた後、お母さんは(実の)お父さんの弟と再婚し、なおみさんは養女になりました。
複雑ないきさつだったため、なおみさんが養女になったことは本人には知らせていませんでした。
でもお母さんと育てのお父さんとの子が生まれると、妹さんが長女になり、なおみさんが養女であることを知られてしまいます。
お母さんは、なおみさんが「自分が養女である」と知って肩身の狭い思いをしてほしくなかった。
だからお腹の子を泣く泣く天国に還したのです。
——なおみさんのご家族には、いろいろなことがあったのですね。
そうですね。
実のお父さんが夢に出てきた話をして、ようやく「妹」という最後のピースが出てきた。
なおみさんは今まで語られなかった家族の存在を知った。
「家族が揃うことが大事」というのは、なおみさんの心の中にお父さんと妹さんの居場所をつくることだったのです。
——そうだったんですね。
はい。他にも驚いたことがありました。
なおみさんのお母さんとは鑑定当日に初めてお会いしたわけですが、私が玄関扉をがらがらと開けて顔を合わせた瞬間、お母さんがびっくりした顔をされました。
「あれ?私の顔に何かついているのかな?」と思ったのですが、違いました。
実は亡くなったお父さんと私、似ているんです。
骨格や背が高いところ、メガネをかけていることも。
お母さんは、私が家に入ってきた瞬間に「亡くなったお父さんが入ってきた」と勘違いしたんです。
——それはお互いびっくりしますね。
でしょう? 亡くなったお父さんの写真を見たときに「自分と似ているな」と、私も思ったんですよね。
お父さんの「みんなが揃うことが大事」という言葉は、私がお父さんの代理人として加わったという意味もあったのだと思います。
——『命日占い』が家族をつないでくれたようですね。
そうかもしれません。
私は帰りの車の中で、お母さんに「亡くなったお父さんの写真を置いてあげてください」と言いました。
家族の中でお父さんの話はタブーだったのかもしれませんが、お父さんは家族の中に入りたがっていたのではないでしょうか。
だから私の夢に現れたのだと思います。
なおみさんの鑑定は、星読みを超えた不思議な体験でした。
【命日占いの方法】丁寧に星と対話する〜当たることにとらわれない
——『命日占い』のエピソードをお聞きしていると、『命日占い』には“大いなるもの”とつながる力があるように感じます。
はい。『命日占い』をしていると、この世とあの世の橋渡しをしてる感覚が強くあります。
『命日占い〈未来編〉』では鑑定だけでなく、「故人からのお手紙」も代筆しましたし。
鑑定のプロセスの中で、亡くなった人の存在をはっきりと感じることが多々ありました。
——『命日占い』によって、かげしたさん自身に変化はありましたか?
『命日占い』をしたからこそ、気づけたことがたくさんあります。
「葛藤=悪いもの」というような単純な見方でホロスコープを読んではいけない、と学んだのは大きかったと思います。
——具体的にどういうことでしょう。
弟さんを事故で亡くされた女性の『命日占い』をしたときのことです。
弟さんと相談者であるお姉さんのホロスコープを見ると、弟さんの冥王星とお姉さんの金星がコンジャンクション(合)していました。
冥王星ー金星のコンジャンクションは、一般的な星読みの解説では「2人は抗えない力によって引き離される」と読みます。
また、「冥王星(弟)によって、金星(姉)が犠牲になる」という風にもとれます。
お姉さんにお話を伺うと、たしかにそのとおりでした。
弟さんは事故で亡くなり、2人は死によって離れ離れになりました。
そして、金星には「思春期」という意味もあります。
お姉さんは思春期の頃、自営業のご両親に代わって弟さんの面倒をずっと見ていたそうです。
2人の間には、死別の辛さも思春期がなかった悲しみもあります。
でも私はこの冥王星と金星のコンジャンクションを「2人の固い絆」と読みかえました。
——星の意味を読みかえたのはなぜですか?
愛する人の死はもっとも受け取り難い体験です。
教科書どおりに星を読むことに違和感がありました。
死にフォーカスするのではなく、この世で2人が出会った意味を見出したかったのです。
そうして星の意味をきちんと押さえつつも丁寧に星を読んでいったら、「さまざまなことがあったからこそ、姉と弟の絆は強くなったのだ」と気づきました。
人生には善悪や吉凶では片付けられないことがたくさんあります。
「思春期がなくて大変だった」「弟を亡くして辛い体験をした」といった単純な視点だけで星を読んではいけないと、今回あらためて感じました。
——かげしたさんにも気づきがあったんですね。
命日のホロスコープをずっと眺めて、感じたことを言葉に尽くそうと頑張っていたら、
「丁寧に星を表現することこそが大事なんだ」という思いに至りました。
『命日占い』をしなかったら、星の読み方に対してここまで思いをめぐらせなかった気がします。
亡くなった方が、私に星の読み方を教えてくれました。
それに、相談者の立場でいえば「あなたの星はこうかもしれない、ああかもしれない」と、占い師が自分のホロスコープを丁寧に読んでくれたらうれしいですよね。
誰かが言葉を尽くして自分の星を表現してくれるだけで、気づきや癒しが生まれると思います。
「星読みで正解を見つけようとしない」ということは、占い師の先生として、生徒さんたちにきちんと伝えていきたいですね。
【かげした真由子のこれから】占いでみんなが安心できる世の中に
——今後のかげしたさんの展望を教えてください。
『命日占い』と『命日占い〈未来編〉』を出版したことで、「かげした真由子=死を受容する人」といったイメージがあるかもしれません。
でも私が目指しているのは、占いの可能性を追求すること。
「占いを通して人間の安心感を育んでいきたい」という気持ちは変わりませんが、双子座らしく、占いの次の何かに向かう気がしています。
——最後に、『命日占い』とは何だと思いますか?
『命日占い』は、儀式やお守りのようなもの。
どんな人も大切な人の死には十分に向き合ってこられていると思いますが、『命日占い』によって、さらに心の整理をつけやすくなると思います。
鑑定では「故人からのお手紙」もお渡ししているので、故人をいつも近くに感じられるようなお守りにしていただけたらうれしいですね。
人間はたくましい生き物です。
大切な人の死もいつかはちゃんと受けとめて、前を向いて歩んでいけると信じています。