「変わりたいのに、なかなか変われない」「やりたいことが分からなくなってしまった」こんな風に感じたことはありませんか?
もしかしたら、そんなモヤモヤした気持ちは冥王星からのメッセージかもしれません。
西洋占星術で「破壊と再生」を司る冥王星は、私たちの心を凍らせる星でもあり、同時に優しく溶かしてくれる星でもあるのです。
この記事では、作家・占星術師で心理セラピストのかげした真由子先生の冥王星講座の内容をもとに、冥王星が今あなたに伝えたいメッセージと、自分らしく生きるためのヒントをお届けします。
Contents
冥王星ってどんな天体?基本の意味をおさらい
占星術における冥王星の役割
冥王星は、社会的な制度や仕組み、個人に対して避けることのできないような大きな変化を起こす星です。
冥王星による変容は一度始まるともう二度と後戻りすることができない、避けることができないような変化でもあります。
今あるものを根本から破壊し、全く新しいものを創造する冥王星には「破壊と再生」という意味が与えられています。
冥王星のキーワード
- 破壊と再生
- 根本的な変容
- 死と再生
- 深層心理
- 支配と解放
- 底力・潜在能力
冥王星は1930年に見つかった天体です。
それまでの伝統的な占星術では宇宙の果ては土星と考えられていました。
しかし冥王星が見つかったことで、太陽系のもっとも外側にあり、太陽系外からの宇宙の流れやエネルギーが冥王星を通じて、私たち個人や社会に影響を与えると考えられるようになったのです。
なぜ今、冥王星が重要なの?
冥王星水瓶座時代の本格化
2024年11月20日に冥王星は水瓶座に入りました。
それより前の冥王星山羊座時代(〜2023年頃)は、社会の構造や組織の闇が溶かされる時代でした。
大きな組織の不祥事が明るみに出たり、社会システムの矛盾が浮き彫りになったりしたのを覚えていませんか?
冥王星水瓶座時代では、社会から個人へ。
つまり私たち一人ひとりの心の氷を溶かすフェーズに入ったのです。
水瓶座は風の星座で、集合意識や人々のネットワークを表します。
トップダウンではなく、一人ひとりが対等な立場で共に創造していく「共創」の時代。
そのためには、私たちが心に抱えている氷を溶かす必要があると言えるでしょう。
冥王星がアウトオブバウンズ
2025年は冥王星が「アウトオブバウンズ(OOB)」という特殊な状態にあります。
アウトオブバウンズとは、天体が通常の軌道を逸脱している状態のこと。
つまり、冥王星によって普段なら破壊と再生を「起こされる」ところを、自分の意志で変容できるチャンスということができます。
補助輪を外してもらった自転車のように、「あなたたち、自分で立てるよ。大丈夫、信じてるよ。」と冥王星から背中を押されているような時期なのです。
冥王星とポリヴェーガル理論との共通点
1990年代に発表された「ポリヴェーガル理論」という心理学・神経科学の理論があります。
この理論を読み解いてみると、冥王星のもたらす変容プロセスと驚くほど一致していることが見えてきました。
このポリヴェーガル理論が発表された1990年代は、冥王星が蠍座を通過していた時期でもあります。
蠍座は深層心理やトラウマを表す星座。
まさに冥王星が、私たちの深い心理を理解するための理論を「発掘」してくれたとも言えるでしょう。
冥王星の新解釈 「破壊」ではなく「凍結と解凍」の星
従来、冥王星は「破壊と創造」「死と再生」の星として知られていました。
一方で、心理学的な視点から見ると、冥王星の本質は「凍結と解凍」にあるのではないでしょうか。
そんな冥王星の新解釈についてお伝えしていきます。
冥王星は氷の星
天文学的に見ると、冥王星は氷でできている星。
太陽系で最も遠く、最も冷たい場所にあるのが冥王星です。
だからこそ、私たちの感情を「凍らせる」役割も持っていると言えるでしょう。
でも、「凍らせる」ことは決して意地悪でやっていることではありません。
私たちの心が傷つかないように、痛みから身を守るために、冷やして麻痺させてくれているのです。
私たちはなぜ心を凍らせるの?
生きていく中で、私たちは様々な痛みを経験します。
- 夢を語って笑われた
- 一生懸命やったのに認めてもらえなかった
- 信じていた人に裏切られた
- 大切な人との別れ
こうした経験から、「もう傷つきたくない」「これ以上頑張るのは無理」と感じた時、心はフリーズしてしまいます。
しかし、これは生きるための防衛反応なのです。
ただ長い間凍らせすぎていると、悲しみや怒りだけでなく、喜びやワクワクする気持ちまで一緒に凍ってしまいます。
そのような状態が続くことで、次第に「やりたいことが分からない」「楽しいと感じられない」という状態になっていってしまいます。
冥王星は太陽の裏側にいる先生
冥王星は確かに、破壊によって創造や変容を起こすことがあります。
ただ、心の視点から見てみると、凍らせてしまった心を再び本来の流れ、つまり太陽が望む自分の人生へと戻すために、太陽の裏側にいる先生のような存在とも言えるのではないでしょうか。
星読みでは、太陽は自分の人生の目的や魂の意図を表します。
自分が何をして、どんなことを経験して、この人生を生きたかったのか。
心を凍らせ、溶かすという冥王星の変容の過程で、そんな太陽の熱を思い出させてくれる存在とも言えるでしょう。
ポリヴェーガル理論で理解する冥王星の変容プロセス
冥王星のもたらす心の変容について、もう少し詳しく見ていきましょう。
冥王星の変容プロセス
冥王星が促す変容のプロセスは次のように進んでいきます。
【冥王星の変容プロセス】
①凍結:痛みから守る
生きている中で「もう傷つきたくない、頑張りたくない」と感情を凍らせて、感じないようにする。
②崩壊:防衛が限界を迎える、新しいチャレンジをしたい!
凍らせていた心が限界を迎え、怖いけれども新しいチャレンジをしたい気持ちも生まれる。
③浄化・解凍:悲しみ、怒り、恐れが溶け出す
氷の下から「本当は怒っていた」「悲しかった」といった激しい感情が噴き出す。涙を流し、自分の感情を感じきる中で、凍っていた自分に気づく。
④再生:本質的な愛・創造性・生命力の復活
心が温かくなってくる。 「私は壊れていたのではなく、閉じこもっていただけだった」と気づき、春が来たような感覚になる。
ポリヴェーガル理論の3つのモード
ポリヴェーガル理論とは人の心と体には「安全を感じる神経」があるという考え方で、迷走神経という太い神経が心拍・呼吸・表情・声・消化などを通して「安心」か「危険」かを常に判断しているとされています。
そして、私たちの神経状態を信号機のような3色のモードで説明します。
緑:安全モード -社会的つながりの神経-
- リラックスして安心している状態
- 人と話すなど安心して繋がれる
- 呼吸もゆっくりで穏やか
赤:闘争・逃避モード -交感神経-
- 危険を察知し、戦うか逃げるかの状態
- 心拍数が上がる
- ストレスを感じている
- 「頑張らなきゃ」「早くなんとかしなきゃ」
青:フリーズモード -背側迷走神経-
- 限界を超えた状態で心と体が凍る
- 何も感じない、動けない、やる気が出ない
- シャットダウン・麻痺状態
- 怠けではなく、身を守る防衛反応
ポリヴェーガル理論のハシゴ
私たちはこの3色のモードを行ったり来たりすることができます。
例えば、普段は緑の【安全モード】にいるところから、危険を察知したときははしごを降りて赤の逃げるか戦うかの【闘争・逃走モード】になる。
赤のモードで頑張っていたけど、傷ついてしまって青の【フリーズモード】になるといったイメージです。
その反対に、青の【フリーズモード】から赤を経て、緑の【安全モード】へとはしごを登る過程もあります。
自分の中で凍らせてフリーズしてしまった氷を意識し、それを溶かすために【闘争・逃走モード】では自分の中の激しい感情や本当の気持ちに向き合う場面もあるでしょう。
そうやって少しずつ自分を受け止めながら、【安全モード】へと移行していく。
これは癒しのプロセスとも呼べるのではないでしょうか。
ポリヴェーガル理論と冥王星の変容プロセスの比較
冥王星の変容とポリヴェーガル理論を比べてみると、重なっていることが見えてきませんか。
凍結したフリーズモード(ポリヴェーガル理論の青)から、崩壊、浄化・解凍のプロセス(ポリヴェーガル理論の赤)を経て、再生のモード(ポリヴェーガル理論の緑)へと至る。
冥王星の変容プロセスも、ポリヴェーガル理論でも同じようなプロセスを歩む、そんな共通点があると言えるでしょう。
【世代別】あなたの冥王星が凍らせたテーマと解凍ポイント
冥王星は約10〜20年かけて一つの星座を移動します。
つまり、冥王星がある星座に滞在する期間に生まれた人は、その星座の共通テーマを持つ世代となります。
そのテーマは、世代ごとに持っているこだわりや守りたくなる事柄と関わっているため、冥王星によって凍らせてしまう「凍結テーマ」「心の氷になりやすい部分」とも言うことができます。
冥王星の確認方法
- ホロスコープを用意しましょう。アステラスコープは無料でホロスコープを出すことができます。
- ホロスコープから冥王星の記号「♇」を探しましょう。
- 冥王星がどの星座に入っているかをチェックしましょう。
冥王星獅子座世代(1939-1958年生まれ)
凍結テーマ
自分を出さないと負けてしまう、主張しなければいけないと「主張する、表現する」ことに関して頑なで、心を凍らせてしまうポイントがあります。
自分の主張を通そうと極端になると他者との分断を生みやすくなりますし、反対に主張することを諦めてしまっても孤立してしまいます。
解凍の方向性
人を導く、説得するのではなく、共に輝きを分かち合い、創っていくこと。
つまり「支配する太陽」から「共創の太陽」へと変化し、みんなに光を届けて照らすことによって、自分も照らし出され輝くという方向へ向かってみましょう。
リーダーシップのイメージがずれているとうまくいかないことがあるので、リーダーとしてうまく動き回れないと感じている人も解凍のチャンスです。
キーワード
創造の再定義/リーダーシップの愛化/表現の温度を下げて温もりへ
冥王星乙女座世代(1958-1971年生まれ)
凍結テーマ
人の役に立たない自分には価値がない、貢献できないのはありえないと過剰反応するところがあります。
自分に厳しく、極端になると自己犠牲、完璧主義によって心を凍らせてしまい、自分自身の喜びや生きる意味、やりたいことがわからなくなってしまいます。
解凍の方向性
不完全でいい、完璧じゃなくてもいいと自分のことを認めていきましょう。
自分の不完全さによって傷ついたり失敗したりした傷があれば癒していくこと。
あるいは、誰かの役に立って喜ばれた体験があればそれも手放していくことで、「役に立つこと=価値」ではないことを知っていきましょう。
キーワード
セルフケア/神聖な不完全さ/存在の価値の再発見
冥王星天秤座世代(1971-1984年生まれ)
凍結テーマ
人間関係やパートナーシップ、場の雰囲気を調和がとれた状態にしなければと強迫観念を感じてしまいます。
場全体のバランスや調和を取るために自分自身を引っ込め、あえて少数意見に回ることもあるかもしれません。
しかし、そんな体験は心を凍らせ、自分の気持ちや本音を見失っていってしまいます。
解凍の方向性
バランス感覚があるのは長所でもありますが、場の調和を保つために自分がいい人でいよう、自分の本音を消そうとするのをやめてみましょう。
いい人でなくてもいい、本音を出しても関係は壊れない、など人とのつながりの質を変化させ、対等な関係性を築いていきましょう。
キーワード
本音の対話/境界線の再定義/つながりの質を変える
冥王星蠍座世代(1984-1996年生まれ)
凍結テーマ
本物かどうかに強いこだわりがあり、本質を追求しすぎることが心を凍らせてしまうポイントになります。
行きすぎると、人を信じることができなくなり、裏切られた経験や期待外れだったことがきっかけで凍結してしまうことがあります。
さらに心を守るために防衛反応が強くなり、自分が傷つく前に人をコントロールしようとしてしまうことも。
解凍の方向性
他者と深く関わる勇気を取り戻すことで、凍っていた心が溶けていきます。
闇ばかり向いていたところから光に目が向き、支配・コントロールではなく信頼によって人との関係を築けるようになります。
本質を見極める力を、良い方向へ活かせるようにしてみましょう。
キーワード
信頼/魂の融合/境界と親密さの再調和
冥王星射手座世代(1996-2009年生まれ)
凍結テーマ
自分の理念や理想を強く持つがゆえに、守らなければという気持ちが凍結ポイントになってしまいます。
「こういう世の中にしたい!」「こうあるべきだ!」という情熱が、時に正義として善やモラルの押し付けになり、自分自身や相手を縛ることにもなりかねません。
解凍の方向性
理想や正義は「押し付ける」ものではなく、「共に描く」ものだという方向へ向かってみましょう。
多様性を受け入れながら、恐れからくる正義ではなく、希望からくる理想へ向かっていきましょう。
自分にとって世の中が怖いから守ろうとしていたのだ、と気づくことで心の氷も溶けていきます。
キーワード
寛容/好奇心/文化の橋渡し
冥王星山羊座世代(2009-2023年生まれ)
凍結テーマ
成果や結果を出すことに過剰にこだわるあまり、心が凍っていってしまいます。
1番にならないといけない、優秀でなければならないと自分を追い詰めることで、成果が出せない自分には意味がないと感じてしまいます。
解凍の方向性
結果や肩書きがなくても、あなたは魅力的な人です。
成功の定義を自分で決めて、成功へ向かうプロセスにも価値があるということを認めていきましょう。
キーワード
プロセス重視/自己定義の成功/ありのままの魅力
心を凍らせた記憶を見つめる:4つの問いかけ
今回は冥王星講座のプレ講座。
ここから始まる3回の冥王星講座に向けて、まずは自分自身に優しく問いかけてみましょう。
今の段階では深く掘り下げなくても大丈夫、ふわっと考えてみながら心の準備をしておきましょう。
問いかけ1:私が凍らせてしまった感情は何だろう?
- 悲しみを我慢していないかな?
- 本当は怒っているのに、なかったことにしていないかな?
- 恐怖や不安を感じないようにしていないかな?
問いかけ2:その時、何を守ろうとしていたのかな?
- 場の平和を守ろうとしていた?
- 誰かが傷つかないようにしていた?
- 自分が傷つかないようにしていた?
問いかけ3:その氷の中に閉じ込めてしまった、本当の私は何?
- 本当は〇〇がしたかった
- 本当は〇〇が好きだった
- 本当は〇〇と言いたかった
問いかけ4:本当の私は今、どんな声を出しているだろう?
- 「そろそろ出してください」
- 「まだちょっと痛いです」
- 「見つかっちゃった」
大切なのは、答えを出すことではありません。
「ああ、私、ここに何か凍らせてるんだな」 「そうか、これだけ頑張ってきたんだな」と気づいて、自分をねぎらうことから始めてください。
生きながらにして生まれ変われる時代
もしかしたら、「人生リセットしたい」 「いなくなってしまいたい」そんな風に思うときもあるかもしれません。
でも、心配しなくても大丈夫、今は生きながらにして、生まれ変わることができる。
1930年に冥王星が発見されたことで、私たちは「終わりの向こうに再生がある」ことを知りました。
冥王星は生まれ変わりを示す星です。
今の時代、私たちは生きながらにして何度でも生まれ変われるのです。
だからこそ、凍らせてしまった自分に気づき、優しく溶かしていく。
そのプロセスを自分で選択できる、素晴らしい時代に生きているのです。
自分の冥王星をもっと深く知りたい方へ
この記事では世代別の冥王星について解説しましたが、あなたのホロスコープで冥王星がどのハウスにあるかによって、さらに個人的なテーマが見えてきます。
詳しくは、次回の冥王星講座1回目の記事で解説するので、楽しみにしていてくださいね。
星読みテラスでは、初心者の方でも楽しく西洋占星術が学べる星よみ協会の無料講座「ホロスコープをスイスイ読めちゃう講座」を開講中です。
自分のホロスコープを読みながら、人生をもっと自分らしく生きるヒントを見つけませんか?
かげした真由子(かげした・まゆこ)
太陽双子座、月乙女座。愛称「まゆちん」。サウンドクリエイター、ベンチャー企業の立ち上げ、保険営業マンの秘書などを経てタロット占い師に。2008年より占い師・心理セラピストとして独立。現在までの鑑定数はのべ1万4千件。2018年からは星よみ協会の無料講座制作にたずさわる。一人ひとりが安心して自分らしく生きるための占い活用を日々研究しつつ、占い師の先生として後進の育成に取り組む。著書『命日占い』『命日占い〈未来編〉』(サンマーク出版)は累計10万部のベストセラー。























